エルサルバドルの世界遺産「ホヤ・デ・セレン」とは?世界遺産マニアが解説

登録区分文化遺産
登録基準(3), (4)
登録年1993年

エルサルバドルの首都サン・サルバドルの北西に位置するホセ・デ・セレンは、6世紀末に近くのロマ・カルデラ火山の噴火によって埋もれてしまったマヤ文明の集落跡。ここは当時の農村生活がそのまま残された「セレンの宝物(ホヤ・デ・セレン)」と呼ばれるほどに大変貴重な遺跡です。

ここではホヤ・デ・セレンがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ホヤ・デ・セレンについて詳しくなること間違いなし!

目次

ホヤ・デ・セレンとは?

画像素材:shutterstock

エルサルバドルのラ・リベルタ県において、1976年に火山灰の地層の中で発見された集落遺跡は「メソアメリカのポンペイ」と呼ばれるほどに保存状態が良く、「セレンの宝物(ホヤ・デ・セレン)」と命名されました。ここはもともと近隣のイロパンゴ火山の噴火によって形成された火山灰層が広がる肥沃な土地で、6世紀に現在の集落が築かれたとされています。しかし、590年頃にロマ・カルデラ火山が噴火し、火山灰によって埋もれてしまいました。そのため、ここは当時の建築物や工芸品、農作物などがそのままの状態で保存されたタイムカプセルとなったのです。

遺跡には18の建築物が残されていて、そのうち10箇所が発掘されています。すべて日干しレンガで作られていて、住居や倉庫、台所、共同浴場、宗教儀式を行う建造物などがほぼ完全な状態で発見されました。そして、農具や動物の骨、宗教儀式用の品々まで、当時の住民の日常生活が分かるものも発見されていて、トウモロコシやハーブ畑、カカオ豆やリュウゼツランなども発見。人骨は発見されておらず、200名ほどいた住民はすべて避難したために、急遽この地を放棄したと考えられています。

ホヤ・デ・セレンはどんな理由で世界遺産に登録されているの?

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ホヤ・デ・セレンが評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
ホヤ・デ・セレンは、6世紀の中央アメリカの農村の日常生活を完全に残していて、この地域において比類のない遺跡であるという点。

登録基準(iv)
ホヤ・デ・セレンは、降り積もった火山灰と村民の放棄によって、建築物や食料、工芸品などがそのまま保存されていて、古代の農村とその環境の相互作用が分かるようになったもの。そして、日干しレンガの建造物は古典期後期・スペインの植民地化以前の共同体の日常生活を示すものであるということ。

世界遺産マニアの結論と感想

ホヤ・デ・セレンは、6世紀のマヤ文明の農村が火山灰によってほぼそのまま保存され、それは建築物だけでなく、食料や工芸品がそのまま残されていたところから、当時の日常生活が分かる貴重な資料であるという点で評価されています。

ちなみに、遺跡からは食べかけの食事まで発見されていて、噴火した時に住民たちは迅速に移動したということが分かっています。そして、ラ・リベルタ県のサンタ・テクラ市は地震の多いサンサルバドルにおいて、新首都として設計されたものの、地震で大損害が発生したために今でも遷都できていないというのが現状。ここは昔から非常に火山活動が多いエリアなのです。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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