登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (2), (3), (4) |
登録年 | 1999年 |
イギリス北部の海岸線に浮かぶオークニー諸島では、ストーンサークルや墳墓、村落跡など、4つの新石器時代の遺跡が残っています。これらは約5000年前に北西ヨーロッパに住んでいた人々の暮らしを伝えるもの。
ここではオークニー諸島の新石器時代遺跡中心地がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、オークニー諸島の新石器時代遺跡について詳しくなること間違いなし!
オークニー諸島の新石器時代遺跡中心地とは?
オークニー諸島はブリテン島の北方にあるスコットランド最北の海岸から約15kmの距離にあります。いくつも島が並んでいますが、その中でも最大のメインランド島には新石器時代の遺跡が点在。ここでは、ストーンズ・オブ・ステネス、リング・オブ・ブロッガー、メイズハウ、スカラ・ブレイの4つの遺跡が世界遺産に登録されています。考古学遺跡では、自然と共存する文化が今でも見られて、文化的景観となっているのも特徴。
これらは北西ヨーロッパで紀元前4000年頃に広まっていた農耕文化を象徴するもの。ここには5000年以上前に存在していた人々の暮らし、儀式、埋葬の文化を残しているもの。オークニー諸島の文化の波は、やがて南下して、ストーンヘンジやボイン渓谷(アイルランド)、カルナック列石(フランス)へと伝わっていたと考えられています。
登録されている主な構成資産
ストーンズ・オブ・ステネス
メインランド島の北西部にある遺跡で、ここは紀元前3000年頃に建造されたとされる4つの立石と環濠、ヘンジ(環状遺跡)で構成されています。
リング・オブ・ブロッガー
同じくメインランド島北西部の湖に囲まれた地にある新石器時代の環状列石で構成された遺跡。環状列石は27基も並び、かつては60基並んでいたとされています。立石は環濠の上に置かれていていて、周囲には青銅器時代の土塁などが点在。
ここの環状の直径は104mとイギリスでは3番目の規模を誇るストーンサークル。これらは紀元前2500〜2000年代に建造されたとされていますが、まだまだ不明なところが多いもの。
メイズハウ
ストーンズ・オブ・ステネスの近くに位置する小高い山。これは新石器時代の墳墓で、内部には大きな石室が築かれました。冬至になると日没の方向を示すということから、当時の人々は天文学の知識も深かったということが分かるもの。
スカラ・ブレイ
メインランド島の北西岸に位置する集落遺跡。ここでは紀元前3100〜2500年頃に人々が住んでいたとされていて、その後19世紀まで土に埋もれていたため、保存状態は良好。
当時の人々はシェルターのような住宅に住んでいて、厳しいオークニーの冬を過ごすために貝塚を利用し、積み重ね、それらが断熱材のようになっていたとされています。住居には食器棚や椅子などの家具があったり、集落には排水設備もあったりと、先史時代の人類の知恵が詰まった集落であるのが特徴。
オークニー諸島の新石器時代遺跡中心地はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
オークニー諸島の新石器時代遺跡が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
オークニー初頭にある4つの遺跡は、ユニークな技術が見られ、建築史上において重要な傑作であるという点。
登録基準(ii)
オークニーの新石器時代の遺跡は、イギリスやアイルランド、北西ヨーロッパの儀式用の複合施設の発展において交流が見られるということ。
登録基準(iii)
スカラ・ブレイは北ヨーロッパの新石器時代の遺跡でも保存状態が良く、オークニーの遺跡は、儀式や埋葬、住居など、紀元前3000〜2000年にこの島で栄えた文化を示すという点。
登録基準(iv)
オークニーの遺跡に残る儀式用の施設は、人類の歴史の重要な段階を示す建築や景観が見られるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
オークニーの新石器時代の遺跡は、人類史の起源でもある優れた建造物で保存状態が良く、5000年前の人間社会の生活が見られるという点で評価。そして、この島の巨石建築がルーツとなり、ストーンヘンジのような有名な建造物にも影響を与えたと考えられているのがポイント。
ちなみに、オークニー諸島には、新石器時代の農場跡も残っていて、これらは紀元前3500~3100年に存在していたもの。実はコレ、イギリスを含む北ヨーロッパ最古の建造物でもあります。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。