フランスの世界遺産「ノール=パ・ド・カレーの炭田地帯」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2), (4), (6)
登録年2012年

フランスの北端に広がるノール県とパ・ド・カレー県は石炭や鉄鉱石の産地。ここには109もの構成遺産が点在し、これらは1700年代から1900年代に至るまで、採掘坑やクレーン、石炭を運ぶ施設、鉄道駅、労働者の団地、学校、公共施設などが含まれます。これらは近代の工業都市のモデルを構成するもので、ヨーロッパの産業史においては重要なもの。

ここではノール=パ・ド・カレーの炭田地帯がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、 について詳しくなること間違いなし!

目次

ノール=パ・ド・カレーの炭田地帯とは?

ノール=パ・ド・カレーの炭田地帯
画像素材:shutterstock

フランス北部、ベルギーとの国境に近いノール県とパ・ド・カレー県の1200平方kmもの広大な地域が世界遺産に登録。この地の石炭は17世紀に発見されたものの、18世紀中頃まで石炭の採掘は行われませんでした。しかし、木材に変わって石炭の需要が上がると、1850年代はフランスで最も重要な鉱山地帯となり、1930年代までにフランス国内の石炭生産量の60%を占めるほどに成長。現在はすべて閉山したものの、ここは18世紀末から20世紀後半まで2世紀に渡って発展した工業地帯で、石炭や鉄鉱石の産業を中心とした労働者たちが住んでいた炭鉱都市の景観が今でも残っています。

構成遺産は109も位置し、スラグの山や農地、森林地帯などの景観から、採掘坑やクレーンなどの産業関連遺産も含まています。各地に運河や鉄道、労働者の住居などで構成される炭鉱都市が設立され、そこには労働者や家族たちのために建造された教会や学校、公共の建造物、市庁舎、病院、タウンホールなどが点在。鉱山都市で暮らした労働者たちの歴史が見られるのが特徴です。

ノール=パ・ド・カレーの炭田地帯はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ノール=パ・ド・カレーの炭田地帯
画像素材:shutterstock

ノール=パ・ド・カレーが評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
ノール=パ・ド・カレーの炭田地帯は、石炭採掘の技術や労働者用の住宅の設計、都市計画など、ヨーロッパの工業化に伴い発生した人類の国際的な交流が見られるという点。

登録基準(iv)
ノール=パ・ド・カレーの炭田地帯は、都市設計や産業構造、石炭採掘によるスラグの山など、19〜20世紀にかけて大規模な工業と石炭の採掘が発展したことを示すということ。

登録基準(vi)
炭田地帯は社会や技術、文化など、国際的に影響を与えました。それらは鉱山労働の危険が伴う事故の歴史でもあり、1850年代から1990年代まで労働者の暮らしが見られ、この地に残る建築物を含めた景観は理想的な労働組合と共産主義の普及を示すものであるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

ノール=パ・ド・カレーの炭田地帯に残る景観は、石炭採掘が発展したことで、ヨーロッパの工業化によってさまざまな技術が持ち込まれて発展した炭鉱都市が出現し、ここは危険が伴う労働者に向けて彼らが暮らしやすいような施設も多く建造されたという点で評価されています。

ちなみに、ノール=パ・ド・カレー地域圏では、炭鉱はもう運用していないものの、今でも自動車や機械産業が盛んな工業地帯で、日本のトヨタ自動車の工場もこの地にあります。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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