ヨーロッパの世界遺産「シュトルーヴェの測地弧」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2),(3),(6)
登録年2005年

19世紀の天文学者フリードリッヒ・フォン・シュトルーベは、北極圏から黒海まで10カ国に渡って2820km以上にも及ぶ測地点を繋いで測量したことから、人類史上初、経線を正確に測ることに成功しました。これにより地球の大きさを測量し、地球がわずかに楕円形であるということが分かったのです。

ここではシュトルーヴェの測地弧がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、シュトルーヴェの測地弧について詳しくなること間違いなし!

目次

シュトルーヴェの測地弧とは?

タルトゥ天文台/シュトルーヴェの測地弧
画像素材:shutterstock

もともと地球を大きさを測るというのは、古代からの人類の悲願で、16世紀に発明された、基線の両端から測定したい点への角度で測定する「三角測量」によって測量可能となったのです。デンマーク生まれの天文学者フリードリッヒ・フォン・シュトルーベは、エストニア(当時はロシア領)のタルトゥで天文学を学び、1816年から1855年にかけて三角測量を使用し、彼が研究をしていたタルトゥ天文台を含む、ヨーロッパ各地に測地点を置いて、地球の大きさと形について調査しました。

とはいえ、初期はわずか2か国(スウェーデン=ノルウェーとロシア帝国)にしか置かれなかった測地点は、やがて北はハンメルフェスト(ノルウェー)から南はスタラ・ネクラシウカ(ウクライナ)まで2820km以上もの距離に265箇所も配置されました。そのため、現在ではノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ベラルーシ、モルドバ、ウクライナの10カ国に広がっていて、265箇所のうち34箇所が世界遺産に。ほとんどが岩に印を付けただけですが、ハンメルフェストとスタラ・ネクラシウカなどには豪華な記念碑が設置されています。

シュトルーヴェの測地弧はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ハンメルフェスト/シュトルーヴェの測地弧
画像素材:shutterstock

シュトルーヴェの測地弧が評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
地球の正確な大きさと形を研究することは、さまざまな国同士の協力が必要で、君主も含めた人間の価値観の交換が科学の発展に繋がったという点。

登録基準(iv)
各地に測地点を配置すること自体が、技術力の結晶でもあったということ。

登録基準(vi)
アイザック・ニュートンが地球が平面ではないという発見から結びついて、シュトルーヴェの測地弧によむて計測した結果、人類の悲願であった地球の大きさや形が判明したということ。

世界遺産マニアの結論と感想

シュトルーヴェの測地弧は、分かりづらい世界遺産ではありますが、測地点や天文台の価値は、シュトルーヴェがこれを活用して、人類史上で初めて地球の大きさや形が正確に分かるようになったということを記念しているという点。そして、この事業を成功させるために多くの国に協力を得て、科学技術を発展させていったというのが評価に繋がっています。

ちなみに、モルドバの世界遺産としては、現在はシュトルーヴェの測地弧のみ。ウクライナ沿いのルディという街に測地点があり、その場所には記念碑がポツンと置かれています。…ちょっと寂しいけど、測地点そのものに価値があるのだからしゃーない。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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