キルギスの世界遺産「聖なる山スライマン=トー」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(3), (6)
登録年2009年

キルギス南西部の都市オシ。郊外に位置する5つの峰を持つ岩山は「スレイマン・トー」と呼ばれ、1500年以上に渡って中央アジアのシルクロードを渡ってきた旅人によって聖山として崇められてきました。山腹には岩絵がある洞窟や礼拝所跡、そして、16世紀に建造された2つのモスクがあり、ここは民間信仰とイスラム教の信仰が融合した中央アジア独特の聖山信仰が見られるもの。

ここでは聖なる山スライマン=トーがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、スライマン=トーについて詳しくなること間違いなし!

目次

聖なる山スライマン=トーとは?

画像素材:shutterstock

キルギス第2の都市であるオシの近郊には、「スライマーン(ソロモン王)」の名前の付いたスライマン・トーと呼ばれる岩山があります。ここは預言者であったスライマーンが滞在したという伝承から、18世紀に名付けられたもの。オシは古くからシルクロードの重要拠点であり、肥沃なフェルガナ渓谷でも最大の都市の一つで、スライマン・トーは灯台のような役割を果たしてきました。

スライマン・トーは少なくとも1500年以上は聖山として崇められてきて、5つの峰とその斜面には岩絵の刻まれた洞窟や礼拝所が存在します。ここは不妊症や頭痛、背中の痛みなどが解消されたり、長寿へと繋がるとされるパワースポットとして信じられてきました。これらは後にイスラム教が普及すると、2つのモスクへと変貌していき、現在残るのモスクは16世紀建造のもの。ここは周囲の谷の景観と合わさり、民間信仰とイスラム教が融合した、中央アジアにおける聖山の完全なる例であるという点で評価されています。

聖なる山スライマン=トーはどんな理由で世界遺産に登録されているの?

画像素材:shutterstock

スライマン=トーが評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
スライマン・トーは、イスラム教以前と以後の時代の崇拝を示す物的証拠が集中していて、その理想的な形状は中央アジアのどの聖山よりも完全な景観であるという点。

登録基準(vi)
スライマン・トーは、数千年に渡ってイスラム教に吸収された民間信仰の伝統を残すもので、それは中央アジアの各地域に影響を与えたという点で評価されています。

世界遺産マニアの結論と感想

オシの郊外でまるで灯台のように位置するスライマン・トーは、古くから崇拝の対象であり、イスラム教が普及されても、ここは聖山として崇められ、中央アジアに残る聖山の典型的な例であるという点で評価されています。

ちなみに、ソロモン王は古代イスラエルの王様で旧約聖書に登場しますが、イスラム教でも預言者の一人。歴史学的にはソロモン王が中央アジアを訪れたとは考えるのは難しいのですが、民間伝承では登場することがあることから、ここも似たようなものでしょうか。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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