登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (7), (8) |
登録年 | 2013年 |
タジキスタン東部は「パミールノット(パミールの結び目)」と呼ばれ、世界遺産として登録されたエリアはパミール平原の北部に位置します。敷地内には約70kmにも及ぶ「フェドチェン湖谷氷河」や「イスモイル・ソモニ峰(標高7495m)」など7000mを越える険しい山々が見られるのが特徴。ここは地球上で最も地殻変動が多いエリアであり、地形学を研究する上でも重要な場所であるというのも特徴です。
ここではタジキスタン国立公園(パミールの山々)がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、タジキスタン国立公園について詳しくなること間違いなし!
タジキスタン国立公園(パミールの山々)とは?
タジキスタン東部のゴルノ・バダフシャン自治州に位置する国立公園で、ここは標高5000mを越えるパミール高原の北側に位置する山岳地帯であり、キルギスとの国境沿いに広がっています。
ここはユーラシア大陸の最高峰の山岳地帯と接する「パミールノット(パミールの結び目)」に属し、インドオーストラリア・プレートとユーラシア・プレートと衝突するエリア。ここからは南方に向かってヒマラヤ山脈とカラコルム山脈、南西に向かってヒンドゥークシュ山脈、東北に向かって天山山脈などを押し上げていています。パミール高原は世界でも最も地殻活動が活発な地で、強い地震も多く発生しているため、人は暮らしていません。
よって、人間による農業や定住による影響を受けていないのが特徴。そして、プレートテクトニクス(世界各地のプレートの境界で発生する地学現象の解釈)や浮き沈みの現象の研究には最適な場所でもあります。
公園は2万5000平方kmにも及ぶ広大なエリアとなっていて、東側は高原で、西側には氷河で覆われた山々が広がっています。その中でも「イスモイル・ソモニ峰(標高7495m)」はタジキスタン最高峰であり、7000mを越える峰が連なるのが特徴。ここは1085もの氷河があり、その中でも「フェドチェンコ氷河」は約70kmにも及び、北極圏や南極圏以外では最も長い氷河です。他にも170の河川と400を越える湖が点在。60億トンもの地すべりで形成された「サレズ湖」や隕石で形成された湖でも世界一の標高を誇る「カラクル湖」なども見られます。
ここは南西アジアと中央アジアにおいて豊かな植物相が見られ、パミールアルガリやシベリア・アイベックスなどの貴重な種が生息し、その中も絶滅危惧種のユキヒョウなども暮らしています。
タジキスタン国立公園(パミールの山々)はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
タジキスタン国立公園が評価されたのが、以下の点。
登録基準(vii)
タジキスタン国立公園は、北極圏以外では最も長い氷河である「フェドチェン湖谷氷河」だけでなく、氷河で囲まれた険しい山々と渓谷、高原地帯、湖など、並外れた自然の景観が見られ、地形学においても重要なものであるという点。
登録基準(viii)
タジキスタン国立公園は、高山や渓谷、氷河など、パミール高原でも標高の高いエリアでもさまざまな地形が見られ、サレス湖などは地震で発生した地すべりによって形成されたもので、地質学や地形学において重要な場所でもあります。この地ではプレートテクトニクスや浮き沈みの現象なども見られ、地球の成り立ちの理解においても貢献するものであるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
タジキスタン国立公園は、ユーラシア大陸最高峰の山々と連なり、地震が多く発生するほどに地殻活動が多い地で、地質学や地形学においても重要で、プレートテクトニクスなど、地球の形成を理解するのに貢献しているという点で評価されています。
ちなみに、パミールアルガリは、かつて『東方見聞録』を執筆したとされるマルコ・ポーロがこの地を訪れた時に発見したというエピソードから、マルコ・ポーロ・アルガリとも呼ばれます。実際に彼はパミール高原を越えて元(中国)へ向かったこともあり、相当ハードな旅だったのでしょう。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。