サウジアラビアの世界遺産「ウルク・バニ・マアリッド」とは？世界遺産マニアが解説

サウジアラビア南部のウルク・バニ・マアリッドは、世界でも最大規模の砂漠・ルブアルハリ砂漠の一部で国有地となっています。ここは野生種が絶滅したアラビアオリックスの再生プログラムが行われ、現在は保護区となっていて、厳しい砂漠環境で生息する貴重な動植物が見られるのが特徴。

ここではウルク・バニ・マアリッドがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ウルク・バニ・マアリッドについて詳しくなること間違いなし！

ウルク・バニ・マアリッドとは？

サウジアラビアの南部に位置するルブアルハリ砂漠は、アラビア半島南部の3分の1を占める世界最大級の砂漠。その中でも西端に位置するウルク・バニ・マアリッドは、首都リヤドから南へ約700kmの位置にあり、イエメンとの国境沿いにあるナジュラン市から北へ約300kmの位置に広がる砂漠地帯でもあります。ここは国有地であり、ラクダの放牧が許される一方、登録エリアの約40％は狩猟禁止の保護地域となっているのが特徴。

ここは砂漠地帯であるものの、砂丘にはカリゴナムというタデ科植物の線状の枝が台地に点在し、これはアラビア半島の固有種です。他にもライム科のリリウムやヒユ科のコルヌラカなど固有種や準固有種などが見られるのが特徴。この地は野生種が絶滅したアラビアオリックスの再生プログラムが行われている場所で、他にも絶滅危惧種のアラビアスナガゼルやマウンテンガゼルも生息している貴重なエリアでもあります。

ウルク・バニ・マアリッドはどんな理由で世界遺産に登録されているの？

ウルク・バニ・マアリッドが評価されたのが、以下の点。

登録基準（vii）
ウルク・バニ・マアリッドは、アラビア半島の中でも、リヤド郊外のトゥワイク断崖に広がる砂丘など、並外れた自然美が見られ、地球上の砂漠でも特徴的な地形が見られます。そして、アラビアオリックスが野生で存在する唯一の場所で、絶滅危惧種のアラビアスナガゼルの最大の生息地にもなっているユニークな砂漠であるという点。

登録基準（ix）
ウルク・バニ・マアリッドは、アラビア半島固有の植物の進化のプロセスが見られ、固有種であるリリウムやコルヌラカなども非常に厳しい環境で生息しているということ。

登録基準（x）
ウルク・バニ・マアリッドは、絶滅危惧種のアラビアオリックスやアラビアスナガゼルの重要な保護区であり、アラビアマウンテンガゼル、スナネコ、ラッペルキツネ、ミミヒダハゲワシなど、絶滅危惧種や貴重な種の保護区となっているという点。

世界遺産マニアの結論と感想

ウルク・バニ・マアリッドは、世界最大級の砂漠の一部であり、この厳しい環境の中で独自に進化した固有の植物が見られ、一度野生種が絶滅したアラビアオリックスの保護区となっていて、この地の固有種や絶滅危惧種が生息するという点で評価されています。

ちなみに、オマーンにも「アラビアオリックスの保護区」という名前の保護区が世界遺産ではあったのですが、管理が不十分で数が激減し、政府も保護区を削減することになり、登録が抹消されてしまいました。こちらのアラビアオリックスの保護区はきちんと保護されることを願うばかりです…。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。