余剰資金もあるし、銀行に預けておくのはもったいないし、どこかに投資しようかなぁ…。とりあえず、旅行好きだからANA(全日空)の株を購入して、配当金と株主優待券を同時にゲットしよう!と考えている方もいるでしょう。しかし、投資はリスクを伴うもの。よーく考えたいところですね。
そこでお得な旅行方法だけでなく、世界遺産巡りのために個人投資も多く実践してきた世界遺産マニアが、ANAの株券を購入して株主優待券をゲットするのは果たして正解なのか?そこのところをリアルで検証してみました。
ANA(全日空)の株を保有するメリットはどこにある?
まずは、難しいことは言わず、簡単に結論を述べてみましょう。
ANA(全日空)の株を保有するメリット
・100株(26〜34万程度)保有するだけで国内航空券が1回半額になる!
・株主優待券にプラスして定期的に数%の配当金がもらえる年がある!
・100株で国内のインターコンチネンタルやANAクラウンプラザホテルなどの室料が20%割引になる「ANAグループ優待券」がもらえる
・東証プライム(一部)に上場していて「5つ星航空会社(5-STAR AIRLINES)」だけに評価も高い(しかも、JALよりも期間が長い)
→ANAはやはり大手企業というだけでなく、インフラでもあるので株主になるというのは、投機ではく、安定的な配当金に加え、株主優待券ももらえるというのはありがたいですね!
ANA(全日空)の株を保有するデメリット
・運賃はスーパーバリュー(早割運賃)なら株主優待券を使った価格よりも圧倒的に安い
・株主優待券は金券サイトでもお得に購入できるし、400株以降はJALよりも貰える枚数が少ない
・航空業界はコロナのようなパンデミックが発生すると大幅に下落するというリスクがある
・配当金はJALよりも低く、他の優良企業に比べて低いほう
→残念ながら、株主優待割引はフレックス(通常運賃)のみ対象なので、スーパーバリューには負けるのです。そして、コロナでは株が大幅に下落(2019年の半額程度)になったこともあり、そのリスクも考慮しないといけません。
まず、いくら株券を購入すれば株主優待券をもらえる?
景気や業績によって異なるものの、100株で1年に1枚もらえる
株というのは、1株買うのに一定した価格ではなく、各企業ごとに評価額で決定します。つまり、需要(買い手)と供給(売り手)のバランスで決まります。株の売買は「東京証券取引所」のような証券取引所で行われていて、その中でもANAは東証のプライム市場(かつての東証一部)で上場(株式市場で取引すること)しているため、抜群の安定性を誇るのです。
ANAの場合は、100株で1年に1回(3月31日と9月30日に保有)、株主優待券をもらえます。単純に計算すると200株で2枚、300株で3枚となるのですが、400株以降は200株ごとに1枚となります。
1株が大体2600〜3400円なので、26〜34万程度用意すればOK(2024年)
年 | 高値(円) | 安値(円) |
---|---|---|
2015年 | 4,100.0 | 2,912.0 |
2016年 | 3,539.0 | 2,650.0 |
2017年 | 4,774.0 | 3,050.0 |
2018年 | 4,783.0 | 3,537.0 |
2019年 | 4,173.0 | 3,497.0 |
2020年 | 3,674.0 | 2,060.0 |
2021年 | 2,974.0 | 2,161.0 |
2022年 | 3,022.0 | 2,150.0 |
2023年 | 3,510.0 | 2,681.0 |
2024年 | 3,385.0 | 2,596.5 |
※QUICK提供
それでは、ANAの株券がいくらなのか見ていきましょう。とはいえ、株価は毎日変動するので、決まった額はありません。2024年でいえば高値は3,385円、安値が2,596.5円だったので、それを考慮すれば、タイミング次第ですが1株は2,600〜3,400円くらいと言えるでしょう。
しかし、ここ10年くらいを考慮すると高値は5,000円近くある年もあったので、ここ最近の価格は割とお得であるとはいえます。買うなら株価が下がりつつある今がベストタイミングかもしれません!
航空券の優待券の割引率は50%だけど…使い方は少し工夫する必要がある?
それでは、今度は株主優待券でどれくらいお得になるか見てみましょう。ここでは早期予約と翌日予約で比較してみました。
■3ヶ月前に予約する場合
東京(羽田)→札幌(新千歳) | 東京(羽田)→石垣 | |
---|---|---|
フレックス(通常運賃) | 48,740円 | 81,070円 |
スーパーバリュー(搭乗1~7日前までの早期割引) | 13,500円 | 26,550円 |
株主割引(半額割引) | 24,740円 | 40,720円 |
※2024年12月に2025年3月31日の普通席で運賃検索した場合の最安値
これを見ると誰もが絶望的に「優待券はそれほど安くならないじゃない!」と感じるでしょう。実は半額券といっても通常運賃から割引となるので、席数に限りがあるものの、早期割引に比べてあまり安くはありません…。
しかし、これはあくまでも早期割引と比較した場合です。
■翌日に予約する場合
東京(羽田)→札幌(新千歳) | 東京(羽田)→石垣 | |
---|---|---|
フレックス(通常運賃) | 48,740円 | 81,070円 |
バリュー(搭乗1~7日前までの早期割引) | 32,440円 | 60,760円 |
株主割引(半額割引) | 24,720円 | 40,720円 |
※2024年12月で翌日に普通席で運賃検索した場合の最安値
こう見るとスーパーバリューを除くと1〜7日前割引であるバリューよりは優待券が安くなるのは明白です。このように1ヶ月以内に航空券を購入する場合は、株主優待券がベストな選択となります。
つまり、事前に予定を決めるタイプの旅行ではなく、急に思い立った時の旅行や地方の実家に帰省する必要が出た場合は、かなりお得なるでしょう。
世界遺産マニアの総論:航空券の優待券は微妙なところだけど「ANAグループ優待券」など、国内旅行好きなら検討!
優待券+配当利回りを考えると意外とお得!
優待券をもらえるのは嬉しいものの、時期によっては最安値ではありません。しかし、お得といえばお得。さらに忘れてはならないのは配当金。2024年は合計で1株につき50円で、100株につき5000円(税抜)を受けることができます。
つまり、年5,000円(税抜)にプラスして、石垣島なら航空券が正規運賃から40,350円も割引となると…合計で4万5,000円近くもお得になるということですね。
株価はまだまだコロナ禍以前には戻ってないものの…株を保有するだけでホテルや空港売店などは割引になる
2024年の予測利回りとして年1.75%程度ではあるので、日経平均の配当利回りはここ10年で約2%と考えると、あくまでも現時点ではありますが、ANAの配当金の額は他の優良企業と比べるといまいちな額といえるでしょう。
その理由は、航空業界はコロナ禍から回復しつつあるものの、ANAは売上高の増加を見込んでいますが、コスト管理や収益性の向上が課題となっていて、投資家から評価が上がっていないというのが現状です。とはいえ、ANAは宇宙開発なども検討していたりと、やはり魅力的な会社ですし、将来性を考えると買うなら今かもしれません!
銀行の平均金利は0.1〜0.2%ということを考えると、株主優待券だけでなく、ホテルや空港の売店の割引券までゲットできるのなら、少し貯金がある旅行好きにとって「総合的」にはお得になる可能性も高いので、検討してみる価値は大だと思います!
※株券は元本割れの可能性もあります。あくまでも投資は余剰資金で行うものなので、ご自身の貯金額を考慮して余裕を持って行いましょう。
※こちらの内容は、2024年の情報であり、世界遺産マニアの調査による検証です。数値については調査時と異なる場合もあるので、その点はご了承下さい。