なぜ「足尾銅山」は世界遺産でないのか?世界遺産マニアがそのあたりの事情を解説

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栃木県にある足尾銅山は、かつて「日本一の鉱都」と呼ばれたほどに繁栄した場所。ここは江戸時代から戦後まで、日本の近代化に大きく貢献しました。その一方で周囲では公害も発生したことから、光と影が見られるというのも実情。

日光市では、世界遺産への登録へ向けて活動を続けていますが、現実的には世界遺産になりそうなのでしょうか?世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、足尾銅山について詳しくなること間違いなし!

目次

足尾銅山とは?

足尾銅山
画像素材:画像AC

栃木県西部、群馬県との県境近くにある銅山。1610年に農民が鉱床を発見すると江戸幕府直轄の鉱山として、ここで通貨の鋳造などが行われ、全盛期が年間1200トンもの銅が産出されました。一時期衰退するものの、明治以降は財閥の出資によって急速に発展。

しかし、「足尾鉱毒事件」として知られる日本初の公害事件が発生した場所でもあり、その後も運営が続くものの、100年公害とも呼ばれるほどに汚染してしまいました。1973年に閉山し、現在は博物館としてトロッコ鉄道などを含めて保存されていて、鉱山経営の「光と闇」が見られるのも特徴。

足尾銅山はなぜ世界遺産として登録されないの?

足尾銅山
画像素材:画像AC

足尾鉱山は日本の近代化に貢献したスポットではありますが、島根県の石見銀山のように世界遺産としては登録されていません。これはなぜでしょうか?

実は世界遺産に登録させるには、世界遺産条約の締約国の政府が世界遺産センター(世界遺産委員会事務局)の協力を受けながら世界遺産候補である「暫定リスト」を作成する必要があるのです。つまり、暫定リストに掲載されていない遺産は、世界遺産に推薦することはできません。

通洞坑口/足尾銅山
画像素材:画像AC

そして、現在の日本の暫定リストには足尾銅山が記載されていないため…残念ながら世界遺産になる可能性は今のところ0%です。というのも、日光市で足尾銅山の「世界遺産登録推進検討委員会」が発足したのが2007年で、2008年に文化庁から「暫定リスト」候補の遺産となったことから、研究や保護活動が行われるようになりました。現在は暫定リスト登録を目指すという段階でもあります。

世界遺産マニアの結論と感想

残念ながら足尾銅山はまだまだ日本国の暫定リストにすら入ってません。しかし、それは現段階の話。現在は少しずつ復原工事も進んでいて、遺跡としての保護活動も行われています。具体的な時期はまだ未定ではあるものの、光と闇を照らし出した産業遺産として、ユニークな遺産になること間違いなし!

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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