中国の世界遺産「『天地の中央』にある登封の史跡群」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(3), (6)
登録年2010年

中国の中央部にあたる嵩山(すうざん)は、聖山として古代から知られ、山の麓に築かれた登封には、闕(けつ)と呼ばれる宮殿と宗教施設を組み合わせた建造物や霊廟、天文学施設など8ヶ所が点在。ここは歴代王朝から「天地の中央」として考えられてきた場所でもあります。

ここでは「天地の中央」にある登封の史跡群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、登封の史跡群について詳しくなること間違いなし!

目次

「天地の中央」にある登封の史跡群とは?

嵩岳寺塔/「天地の中央」にある登封の史跡群
画像素材:shutterstock

「嵩山」は河南省の登封市にある五岳の一つ。ここは中岳とされる場所で標高は1440m。登封は山の麓に広がり、中国初期王朝の一つである夏王朝が存在した場所とされています。中国の伝統的な宇宙観においては、「中原」と呼ばれる登封一帯こそが天地の中心であると考えられていて、その後の歴代王朝はこの地が中国文化の中心と考えてきました。

嵩山は古くから山岳信仰が残り、宗教・文化においても重要な場所と見なされ、歴代王朝によって施設が多く建造。後漢時代に建造された「太室闕(たいしつけつ)」と呼ばれる闕や、中国で現存する最古のレンガ塔である仏塔「嵩岳寺塔(すうがくじとう)」、北魏時代から存在する儒教の学校「嵩陽書院(すうようしょいん)」、8世紀に遡る中国最古の天文学施設「周公測景台と観星台」など、8ヶ所が世界遺産に登録。これらは王朝ごとに「天地の中央」という概念を示したものでもあります。

嵩山少林寺

嵩山少林寺/「天地の中央」にある登封の史跡群
画像素材:shutterstock

5世紀創建の仏教寺院で、インドから中国を訪れた達磨がここで9年も坐禅を続け、禅を中国に伝えた地としても有名。随の文帝(在位581〜604年)によって「少林寺」と名付けられるようになりました。

16世紀の明代に建造されたとされる常住院の「千仏殿」は、少林寺建築の中でも最大の規模を誇ります。他にも12世紀に築かれた木造の「初祖庵」、僧たちの墓塔が林立する「塔林」などが残存。

「天地の中央」にある登封の史跡群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

「天地の中央」にある登封の史跡群
画像素材:shutterstock

登封の史跡群が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
登封の史跡群は、天地の中央、王朝の権力の中心、天と地の中心に設置された都など、嵩山の信仰と強く結びついていて、歴代王朝によってこの地域は重要視されてきたという点。

登録基準(vi)
登封の宗教建築物や世俗の建築物は、1500年以上に渡って皇帝が支援し、中国で崇められている聖山「嵩山」を中心に天地の中央として、仏教の思想とも合わさり、伝統や文化などがそれぞれ反映されているという点。

世界遺産マニアの結論と感想

登封は古代から「天地の中央」として歴代王朝で崇められてきた地。登封市に点在する史跡は、嵩山信仰と強く結びつき、多くの建築物が作られ、それらの文化や伝統が今でも見られるという点で評価されています。

ちなみに、日本の少林寺拳法は、宗道臣氏がここで学んだ後に日本国内で創設した「日本」の武道。日本の少林寺拳法とは、関係なくはないのですが、本拠地は香川にあるので、ここが総本山というわけではないんです。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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