世界遺産検定マイスターの難易度と合格率は?一発合格する勉強法とコツを世界遺産マニアが教えます

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世界遺産検定マイスターは、1級合格者しか受験することができない、世界遺産検定の中でも最高峰の試験です。その受験者数は少数であり、数でいえば「半数は受かる試験」であるとされますが…論述式のため、実は難易度がグッとアップ!そして、問3の小論文は正解のない最難関の問題となっています。暗記だけでは絶対に合格できない…この途方もない試験にどのように立ち向かえば良いのでしょうか?

そこで、世界遺産検定マイスターに合格するのに苦労した世界遺産マニアが、マイスターに一発合格する勉強法とコツを伝授していきましょう。

目次

まず世界遺産検定とは?マイスターになるにはテキストを読むだけでは不十分!

世界遺産検定とは?

パルテノン神殿/世界遺産検定マイスターの難易度と合格率
画像素材:shutterstock

まず、世界遺産検定は国の資格ではなく、民間検定です。「NPO法人世界遺産アカデミー」が検定を実地しているもの。彼らの規定では、

「世界遺産検定は、人類共通の財産・宝物である世界遺産を通して、国際的な教養を身に付け、持続可能な社会の発展に寄与する人材の育成を目指した検定です。」

…とのこと。まぁ、平たくいえば「世界遺産の教養を身に着ければ、世界いろいろなところで社会に役立つ人材になれる」ということでしょうか。

世界遺産検定にはランク分けがある

実は世界遺産検定は、マイスター、1級、2級、3級、4級まで細かくランク分けされていて、ちょっと世界遺産を学びたいという初心者から、世界遺産オタクというべきほどに知識を身につけないと合格できないマイスターと1級があります。

今回ご紹介するマイスターというのは、世界遺産条約を解釈・理解し、自分の意見まで言えるという、まさに「世界遺産の名人」となるための試験とも言えますね。

マイスターの出題範囲と難易度

マイスターの試験範囲/世界遺産検定マイスターの難易度と合格率
画像:写真AC

マイスターの試験範囲は、「NPO法人世界遺産アカデミー」によると、

「世界遺産条約の理念や諸概念を理解し、世界遺産に関する諸事象について自分の意見をもつ」

となっていて、もはや各遺産のことを知っているだけではなく、各遺産の問題点や事情は知っているのは当たり前!それを踏まえて自分なりの意見で熱い議論ができる…というレベルを求めています。

よって、出題対象となる遺産は、

「世界遺産全件」

となっていますが、暗記だけが必要なわけではなく、世界の現状を踏まえて「世界遺産をより良く保護・保全するにはどうするか?」という思考能力を問うのが一級との違い。

ちなみに、2024年の3月以降は、テキストは変更となっているので、それ以前に世界遺産検定マイスターや一級を受けた方は、念のため、変更しておきましょう。

『すべてがわかる世界遺産1500(上巻)<第1版>』  世界遺産検定事務局著


世界遺産検定マイスターの難易度と合格率はどれくらい?

合格率はどれくらい?

合格/世界遺産検定マイスターの難易度と合格率
画像:写真AC

まず、マイスターの難易度ですが、2023年度の合格率が約46.7%。1級が31.1%。あれ?マイスターのほうが合格率高くない?と思ってしまうでしょうが、冷静に考えてみてください…マイスターを受験できるのは「一級合格者」のみなんですよ。つまり、急激に受験者が減る上に、ライバルはどれも一級合格者という猛者だらけの中、認定点は20点中12点というラインを超えないといけないということもあり、1級合格者が本気で勉強しても半分しか合格できない…といえば、どれだけ難しい試験か理解できるでしょうか?

1級のように「世界遺産に詳しい」だけでは受からない試験だと思っていいでしょう。

難易度が上がるのは、論述問題になるから?

論述で悩む/世界遺産検定マイスターの難易度と合格率
画像:写真AC

まず、1〜4級までの試験はマークシート式だったので、暗記と言っても一言一句覚える必要がありませんでしたが、マイスター試験は「自身で鉛筆もしくはシャーペンで論述する」必要があり、その時点でかなり難易度がアップします。思考力を問われる以上は、一般的な暗記だけではどうにもならず、世界遺産に関する常識やニュース、問題点、法律などを含めた「総合力」がないと合格できません。

そして、一級を合格した程度では、たいていの人がまだこのレベルには達しておらず、マイスターを目指すなら一級を合格してからどれだけ世界遺産に対する「意識」を変えていくかが大事なのです。

一発合格するためにはどう勉強すればいいの?実は勉強法にはコツがある!

マイスターに受かるにはどれくらい正答すればいいの?

受験資格解答形式問題数試験時間合格基準※1
1級認定※2論述3問120分20点満点中12点以上
※1:合格基準は調整される場合があります。
※2:08年までの中級試験における「プラチナ」認定者も含みます。
※3:12点に達していても、問1、2で6点、問3で6点にそれぞれ達していなければ、合格基準を満たしていないものとします。

上の表を見てもらえば分かると思いますが、問1と2で6点、問3で6点以上とらないと、合格にはならないので、合計点ではなく、問題ごとの最低点があるという試験となるので、それが一般の試験と違うところではありますね。

マイスターの配点比率

それではマイスターの配点比率を見てみましょう。といっても、公式HPでは「分野を横断する総合的な出題です」と記述していて、とりあえず、これだけやっておけばOKという試験ではないということだけでは覚えて置きましょう。

え?それではどこを勉強したら良いかわかんないよ。…と皆様は思うと思いますが、公式HPで直近の過去問とその勉強法を解説しているので、ある程度絞ることができます。これは無料で公開されていますし、過去に購入したテキストも引き続き教材として利用できるので、コスパは良い試験ではありますね。

それでは、3つの問題をどのように勉強していくか、解説していきましょう。

問題1の勉強法 ひたすら暗記でOK!

暗記カード/世界遺産検定マイスターの難易度と合格率
画像:写真AC

例:
次の語句を簡潔に説明しなさい。 

1. 文化的景観
2. シリアル・ノミネーション・サイト
3. 登録基準(vii)

ルール

『すべてがわかる世界遺産1500(上巻)<第1版>』の「世界遺産の基礎知識(P.020〜114)」で、赤字と黒字になっている語句を50文字以内で説明するというだけ。基本的にテキストの内容に合わせて、わかりやすく50文字以内にまとめればOK。

勉強法

傾向としては、1級まで合格した人なら馴染みの高い語句が2つ、テキストを読み込まないと理解できない、馴染みの薄い語句が1つが出題される傾向にあって、次の問2の出来によりますが、問1は3つの語句の中でも最低でも2語句は合格しないと合格は難しいでしょう。下記をご覧いただくとわかりますが、テキストの中にある試験範囲だけでもこれだけの数の語句があります。

これをすべて覚えようと思うとすごく大変なので、まずは「必ず覚えておいたほうが良い語句」から覚えていき、余裕が出たら「満点を狙うなら覚えておきたい語句」を覚えていくと良いでしょう。
※これはあくまでも世界遺産マニアが思うだけであって「必ず出る」とは言い切れないのでご理解ください!

必ず覚えておいたほうが良い語句

…ここ数年で出題した語句(世界遺産マニア調べ)と基本的な語句。絶対に覚えておかないと試験合格は難しいので、最低でもこれくらいは覚えておきましょう。

顕著な普遍的価値、世界遺産、世界遺産リスト、世界遺産条約、世界遺産条約履行のための作業指針、世界遺産条約締約国会議、世界遺産委員会、登録決議、情報照会、登録延期、不登録決議、ビューロー会議、世界遺産センター、世界遺産基金、ICCROM(文化財の保存及び修復の研究のための国際センター)、 ICOMOS(国際記念物遺跡会議)、IUCN(国際自然保護連合)、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)、ユネスコ総会、文化遺産、自然遺産、複合遺産、危機遺産、危機遺産リスト、緊急的登録推薦、負の遺産、登録基準(総論)、登録基準(i) 、登録基準(ii)、登録基準(iii)、登録基準(iv)、登録基準(v)、登録基準(vi)、登録基準(vii)、登録基準(viii)、登録基準(ix)、登録基準(x)、真正性、奈良文書、完全性、文化的景観、意匠された景観、有機的に進化する景観、関連する景観、グローバル・ストラテジー、シリアル・ノミネーション・サイト、トランスバウンダリー・サイト、MAB計画(人間と生物圏計画)、生物圏保存地域、核心地域(コア・エリア)、緩衝地帯(バッファー・ゾーン)、5つのC、ハーグ条約(武力紛争の際の文化財の保護に関する条約)、ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)、アップストリーム・プロセス、プレミナリー・アセスメント

満点を狙うなら覚えておきたい語句

…ここ数年で出題したことがない語句(世界遺産マニア調べ)。満点を狙うのなら覚えておいて損はないでしょう。

ユネスコ憲章、代表性、ユネスコ世界ジオパーク、世界遺産に関するブダペスト宣言、アテネ憲章、ヴェネツィア憲章、 文化財不法輸出入等禁止条約、文化財の不法な輸入、輸出及び所有権譲渡の禁止並びに防止の手段に関する条約、国連人間環境会議、人間環境宣言(ストックホルム宣言)、公的又は私的の工事によって危機にさらされる文化財の保存に関する勧告、歴史的都市景観の保護に関する宣言、ウィーン・メモランダム、世界遺産におけるボン宣言、世界遺産条約履行に関する戦略的行動計画(2012-2022)、リアクティブ・モニタリング、(包括的)保存管理計画、自発的財政貢献アジェンダ21
※これらは試験問題には出題されていませんが、いつ登場するか分からないので、問1の満点を狙うなら覚えておいたほうが無難

問題2の勉強法 ここもひたすら暗記でOK!

暗記カード/世界遺産検定マイスターの難易度と合格率
画像:写真AC

例:
世界遺産条約について、次の語句をすべて使って、400字以内で説明しなさい。なお、解答中の次の語句の使用箇所には下線を引きなさい。
危機遺産リスト 従来とは異なる新たな破壊の脅威 教育事業計画 保護・保全の一義的な義務や責任

ルール

4つの指定語句を用いて世界遺産条約を説明するという問題。世界遺産条約の意義や目的、採択の背景なども理解し、それを400文字以内にキーワードを加えてまとめるという問題であり、文字数は8割を書かないと減点となってしまいます。

ちなみに、指定語句は必ず線引きしないといけないので要注意!

勉強法

基本的に4つの「指定語句」は前回の試験で出た4つの指定語句は必ず、50〜75文字程度で忠実に説明できるようにしておきたいところ。2024年12月以前の試験では2つの語句は引き継がれていたものの、現在ではこの方式は当てはまりません。とはいえ、基本的に「世界遺産の基礎知識」にある「世界遺産条約の目的」のページにある赤字と黒字の箇所からほとんどが出題されるので、絶対に覚えておきましょう。逆にそれ以外の項目が出題される可能性もあるので、高得点を狙うのなら、語句の隅々まで覚える必要もあります。

世界遺産マイスターの攻略法に関するウェブ記事でよく出てくる「指定語句だけを羅列した定型文」をそのままコピーして書き出すと、公式HPによると点数は低くなる傾向にあるとのことなので絶対に止めましょう(バレます)。あと、世界遺産条約が採択されたのが1972年なので、パレスチナやウクライナなど、最新の時事問題なども入れないほうが無難(公式HPの過去問の解答によると、点数は0にはならないらしいですが、あまり推奨はしていない様子)。

よって、以下の

・顕著な普遍的価値
・従来とは異なる新たな破壊の脅威
・文化遺産と自然遺産(を一つの条約で保護)
・危機遺産リスト
・世界遺産委員会
・世界遺産基金(世界遺産基金の支払い)
・保護・保全の一義的な義務や責任
・国際的援助
・教育事業計画
・教育・広報活動
・国際社会(全体の義務)
・(社会生活の中での)機能・役割
・ユネスコ
・報告
・世界遺産条約履行のための作業指針

このあたりはすべて50〜75文字程度で説明できるようにして、

(冒頭の例文)
「世界遺産条約は、1972年のユネスコ総会で採択された国際条約である。その目的は、顕著な普遍的価値を有する遺産が従来とは異なる新たな破壊の脅威に直面しているため、世界遺産リストに登録して保護し、後世に伝える国際的な協力体制の確立にある。」

…といった基本的な文章の後に4つの指定語句の内容を当てはめると、400文字程度で綺麗に説明できると思います。特にここは問1以上に覚えることが少ないので、得点源になる問題と考えることは間違いなし。ほぼ満点を目指すとするなら、問1でミスをしてもここで満点をとればギリギリ合格点に達することができるでしょう!

問題3の勉強法 小論文の書き方をマスターし、問題を抱えている遺産の事例を多く揃える

論文用のシート/世界遺産検定マイスターの難易度と合格率
画像:写真AC

例(公式HPの例題):
・世界遺産の保全と景観保護に関し、地域の経済発展などの問題も踏まえながら、「ドレスデン・エルベ渓谷」の事例を用いて、1,200字以内で論じなさい。
・「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」において、世界遺産保全のための入山料の徴収が議論されているが、その是非について、是非双方の視点を交えながら他の遺産と比較しつつ1,200字以内で論じなさい。

ルール

最大1200文字以内で8割以上埋めるのがマスト(これ以下になると減点…という記載はありませんが、高得点を狙うなら8割以上は埋めたほうが無難でしょう)。論述式ではあるので、正解のない問題ではありますが、基本的には正確な情報で根拠を示しつつ、自分の考えを述べて完成させるもの。公式HPでも正解は出していないので、受験者自身で「正解」に近いであろう論述を完成させるという、マイスター試験では最難関の試験となっています。

勉強法

まずは、「小論文」の書き方を勉強する必要がある

小論文のイメージ/世界遺産検定マイスターの難易度と合格率
画像:写真AC

まず、論述というのは「小論文」と同じです。大学受験を小論文で試験を受けた人なら書き方を知っているとは思うのですが、文系でも特殊な試験である上に、学生時代に小論文を書いたことがある人でもほぼ書き方を忘れていると思います。

小論文は思ったことを自由に書くという「感想文」と違って、根拠や理由を示し、論理的に自分の意見や主張を述べていくもの。おもに序論・本論・結論で構成され、公式HPで推奨しているのは、序論で全体の結論を書いて、本論で同じテーマに沿った世界遺産のケースで肉付けしつつ、根拠や理由を説明し、結論で論理的に自分の意見を述べるという構成。

とはいえ、小論文を書いたことがない人が、いきなりやるのは難しいので、何度か練習をするしかありません。まずは自身で執筆してみて、ご家族やお友達などにチェックしてもらって書き方を磨いていくというのがベスト。

小論文は練習すれば、ある程度書けるようになるので、これは努力でカバーできる範囲です。苦手な人でも5回くらい執筆すれば、上手かどうかは置いておいて「書き方」は慣れてくるでしょう。

詳しくは↓のサイトなどを参考にしてみてください。

小論文の書き方完全マニュアル!構成、ルール、注意点とは?模範解答&減点対象ダメ答案例文つき

「本論」を述べるためには、そのテーマに沿った具体的な遺産の事例を多く揃えるしかない

結論/世界遺産検定マイスターの難易度と合格率
画像:写真AC

小論本が書けるようになったからといって、それはあくまでも第一歩にしか過ぎません。その一方、ここで大事なのは、問題のテーマに沿った「具体的な遺産の事例」を挙げて、論じる必要があるのです。よって、事前にさまざまな遺産が抱える事情や問題点などを把握していないと、この問題は解けないようになっていします。

しかし、すべての遺産の事情や問題点を把握するのは実質無理ですよね…。そこで、テーマごとに遺産の事情や問題点を「メモ」として事前に用意していきましょう。

問題の主題テーマとしてよくあるのが、その年の世界遺産委員会で話題となったことや世界遺産の新たな概念、そして、日本の遺産のニュース・問題点など。しかし、これはあくまでも主題であり、これに関連して他の遺産を例に出して自分の意見を述べていかないといけないのだから難しいのです。よって、「他の遺産」として我々が用意すべきテーマは、大まかに分けると、自然災害、大規模工事、都市開発、観光開発、紛争…このあたりでしょうか。

それぞれの遺産の問題点や課題については、文化庁のほうで世界遺産委員会が開かれるたびに「世界遺産委員会審議調査研究事業報告書」という資料にまとめてくれているので、それぞれの遺産の最新の保全状況についてはこちらで知ることができます。

…が、この資料、あまりにもデータが重い上に、とにかく長い!すべてを読み込むのに、相当な時間がかかります。よって、いくつかの遺産をピックアップして、ご自身で保護・保全の現状をメモで簡単にまとめておくと良いでしょう。

「世界遺産委員会審議調査研究事業報告書」

世界遺産マニアがまとめた「主論で使えそうな遺産の事例のメモ」

ストーンヘンジ/世界遺産検定マイスターの難易度と合格率
画像素材:shutterstock

といえども、なかなかご自身でまとめるのは、大変だと思うので、世界遺産マニアが検定前にまとめたものをサンプルとして置いておきますね。

※これはあくまでも「サンプル」であり、一部は実際に使用したことがあるので、このままマルパクリするとさすがに試験官が違和感を抱くと思うからご注意を!

■アブ・メナ/自然災害
どんな理由で危機遺産になったか?
・排水設備がないまま農業開発が行われ、干拓や灌漑によって近い水面が上昇
・ため池が破壊され、大規模な空洞が形成されてしまった
・資産範囲に大規模な道路の開発
今後の対策
→地盤地下のリスクのための地質調査が行われ、新たな排水井戸の設置、モニタリングが進められている。しかし、是正措置は2010年に完了予定だったが、終っておらず、2024年末を期限としたために、引き続き、危機遺産のまま。

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■ストーンヘンジ、エーヴベリーに関連する遺跡群/大規模工事
どんな課題があるか?
・A303道路(幹線道路)はストーンヘンジの近くを通り、道幅が狭くて交通状態がひどい状態。そこで2015年には長さ3.2kmの長さのあるトンネルの建造計画が登場
・しかし、2020年にはストーンヘンジの近くで、20本の深い縦穴が発見され、政府は4ヶ月延期
・2023年にはイギリスは道路計画を許可を世界遺産センターに提出
今後の対策
・第46回世界遺産委員会にて審査のため、調査と状況の草案を世界遺産センターに提出することを要請
・トンネルを資産の西側境界まで延長するようにして、考古学的にも配慮するように求めている

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■カイロ歴史地区/都市開発
どんな課題があるか?
・カイロ歴史地区再生プロジェクトが行われていて、建物の保存を考慮しながら行われている。しかし、その開発と実施の全体の枠組みは不明確
・2023年に「カイロ墓地」に建設された道路において、霊廟や墓の取り壊しはなかったとされるが、現地メディアで破壊があったという報道があった
今後の対策
→世界遺産委員会はプロジェクトを確認して、諮問機関の調査のために詳細を要請。第46回世界遺産委員会の審議のため、最新の報告書を要請中。

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■シャフリサブス歴史地区/観光開発
どんな理由で危機遺産になったか?
・都市開発が委員会に情報を提供されずに実行された
・歴史地区内のオリジナルの不可逆的な変化
・保存計画の欠如
どんな課題があるか?
・2回のリアクティブモニタリングが実施され、リストの削除が検討されるほどに
・現状では過去の姿に戻すことは難しく、再建ではなく、失われた都市のつながりを再構築し、一部の建造物を元に戻すことも視野に入れている
今後の対策
・現在は取り壊し前後の状況を比較している段階
・世界遺産委員会はウズベキスタンに対し、登録時の歴史的都市景観のマスタープランと統合された保全管理計画を要請している

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■アスキアの墳墓/紛争
どんな理由で危機遺産になったか?
・首都ガオの武装グループの占領
・管理ができていないこと
・泥造りの墳墓のため、崩落の危険性ある
どんな対策がされているか?
・不安定ではあるが、保存は地元の若者や女性が努めている
・紛争地域遺産保護国際同盟により、「アスキアの墓の修復事業」によって運営資金が回され、作業は進行中
・ガイドの訓練や設備の修復、保全マニュアルの作成、小学生のガイドツアー、ラジオ放送などが行われている
・緩衝地帯を囲うための低い壁も建設中
今後の対策
・都市計画基準の監視ができるように資料を世界遺産センターに提出
・引き続きモニタリングしていく

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合否を分けるのは試験当日の「時間配分」!問3を下書きするのは危険

合格か不合格/世界遺産検定マイスターの難易度と合格率
画像:写真AC

問1〜3の勉強法は分かってきたと思いますが、問題は試験当日です。はっきりと断言しましょう…。試験を受ける前に最低でも4回以上は過去問は解いておきましょう。

なぜ過去問を解くのが大事か?というと、自分なりの「時間配分」ができるからです。というのも、試験時間の「2時間」というのはのんびりとやると間に合わないケースがあるので要注意!世界遺産マニアですら、合格した際は問3が完成したのは残り10分前というほどで、見直しを含めたらギリギリでした。

■スタンダードな時間配分(合計2時間)
・問1と2→見直しも含めて30分程度
・問3→プロット作りで30分、原稿の作成と見直しで1時間

問1と2は30分以内に終わらせるのを目標としよう

まず、この2問は暗記したものをそのまま書き出せばクリアできるので、開始と同時に高速で解いていきましょう!焦るのは危険ですが、問1はしっかりと準備しておけば、5〜10分で終わります。

そして、問2はさすがに暗記したものを頭の中で構成して書き出すのは難しいので、試験用紙と同時に渡される「下書き用紙」に簡単な構成案を書きましょう(時間がもったいないので、これは本当にメモ程度でOK)。そうすると、全体の流れがつかめるので15〜20分程度でスラスラと書けるハズです。

問3は下書き用紙に本気で書くのはNG!構成案を作った後はそのまま問題用紙に書き出すのがコツ

問1と2は30分程度で終わらせれば、残りは1時間30分。なんだよ…時間あるじゃん!と思ったアナタ。甘いです!問3を合格するレベルに仕上げるには本来は1時間30分でも足りないのですよ。構成案をしっかりと練らないと、整合性がとれなくなり、不合格となってしまう可能性が高いので、ここは30分を超えても時間をとりたいところ。そうなると、実際に執筆するのは1時間を切ってしまいます。

ここで冷静に考えてみてください…。いくら構成案があるからって、1200文字程度の小論文を1時間で執筆するのは、さすがに大変です。よって、下書き用紙に書いてから問題用紙に清書する時間はないと思ってください。かなり乱暴かもしれませんが、構成案が完成したら問題用紙に直接書いていきましょう。

…かなり勇気がいるとは思いますが、これも「慣れ」で解決できます。よって、過去問を解きながら訓練をすれば、それほど難しいことではありません。

合格への最短の道は、ひたらすら暗記と問3の主論で使えそうな遺産の事例をどれだけ集められるか?がカギ

スワヤンブナート/世界遺産検定マイスターの難易度と合格率
画像素材:shutterstock

どうでしたか?ここまで読み進めると、マイスター試験ってかなり難しそうに思えるかもしれません。とはいえ、試験を受けた人の半分は受かっているというデータもあります。つまり、やればきっと合格できるんです。

「やればできる」…まさに世界遺産検定は、全く素人でも対策をすれば合格できる良いシステムだと思いますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね!

別に回し者というわけではないのですが、2024年の3月以降は、テキストは変更となっているので、それ以前に世界遺産検定マイスターや一級を受けた方は、最新版を購入しておくことをおすすめします。

『すべてがわかる世界遺産1500(上巻)<第1版>』  世界遺産検定事務局著


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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1200以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定マイスター認定済。

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