登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (3), (4) |
登録年 | 2003年 |
キューの王宮植物園は、ロンドン南西部に位置するリッチモンドにある、18世紀から現在まで世界の植物を収集している世界最大規模の植物園。ここは研究所や園芸学校など、世界の植物研究において重要な役割を果たしてきました。
ここでは、キューの王宮植物園群(キュー・ガーデンズ)がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、キューの王宮植物園群について詳しくなること間違いなし!
キューの王宮植物園群(キュー・ガーデンズ)とは?
ロンドンの南西部に位置するキューというエリアに築かれた王宮植物園は、1759年に英国王ジョージ2世の皇太子の后であったオーガスタ妃(ジョージ3世の母)によって、庭園を植物園へと拡張させたことが始まり。
ジョージ3世は、植物学者でもあったジョゼフ・バンクスなどに命じて、世界中の植物を集めると庭園のコレクションはさらに拡大。1840年に庭園は王立植物園となり、ここはイギリスの植民地にあった植物園から植物を集め、研究所として品種改良などを行っていました。ここで研究された植物をまた別の植民地へと持ち込み、プランテーションとして大量生産をするという仕組みで、これが大英帝国の植民地運営においては重要な役割を果たすことになるのです。
現在は121万平方mにも及ぶ広大な敷地に、850万を超える植物が見られる、世界最大級の植物園となりました。
パームハウス
19世紀半ばに築かれた巨大なガラス温室。外観はヴィクトリア朝時代のまま。2つの石炭で稼働するボイラーによって加熱され、冬でもヤシの木が育つ環境を作り上げたもの。このシステムは、世界中のガラス温室のモデルともなりました。
グレートパゴダ
園内の南東に位置する50mの中国風の塔。ここは建築家ウィリアム・チェンバーズによって1761年に建造され、八角形型の建造物を重ねて10階建てにしてたもの。「パゴダ」という名前ではありますが、実際は塔のような建造物。
キューの王宮植物園群(キュー・ガーデンズ)はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
キューの王宮植物園群が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
18世紀以降、世界中から研究と大量生産のためにさまざまな植物が持ち込まれ、それらが庭園の景観とコレクションに反映されているという点。
登録基準(iii)
キューの王宮植物園は、研究所などが作られ、植物学や生態学の発展に大きく貢献したということ。
登録基準(iv)
庭園はウィリアム・チェンバーズなど、有名な芸術家たちによって独特で前衛的な建築物が加えられていき、この景観は世界の植物園に影響を与えているという点。
世界遺産マニアの結論と感想
キューの王宮植物園は、現在は世界最大級の植物園ではありますが、植民地経営のための研究所という側面もあり、それがイギリスの植物学や生態学の発展に大きく貢献したという点で評価。そして、温室など最先端の建築物も築かれていたということもポイント。
ちなみに、園内には突如、日本の古き良き民家が出現しますが、これは2001年に愛知の岡崎にあった民家をそのまま移築したもので、その名も「ミンカ・ハウス」。もちろん、園内には日本庭園もありますよ。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。