登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (4) |
登録年 | 2002年 |
南米で最も小さな国スリナムの首都であるパラマリボは、17〜18世紀に築かれたオランダ植民地時代の都市。オランダの建築様式と地元のクレオール文化が入り混じった建築物が多く作られ、19世紀の植民地時代の町並みが今も残っています。
ここではパラマリボ市街歴史地区がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、パラマリボについて詳しくなること間違いなし!
パラマリボ市街歴史地区とは?
スリナムは南米の北東部に位置する、南米で最も小さな国。パラマリボはスリナムの海岸に位置していて15世紀に発見。もともとはスペイン領だったものの、17世紀にオランダ領となりました。そして、オランダはこの地にゼーランディア要塞を形成し、17〜18世紀には木造の切妻屋根の建設物が多く建造されました。しかし、19世紀前半に火事により建物の多くは消失したものの格子状の区画は当時のまま残っています。
19世紀後半、スリナムは奴隷制が廃止になると、黒人やインド人などが多く住むようになり、オランダの建築様式とアジアからの移民による工芸技術、さらにヨーロッパと中南米の文化が混じったクレオール文化が合わさり、歴史地区には独特の景観が並ぶように。
ウァーテルカント(水辺地区)には、木造とレンガの建築が今でも残っていて、植民地時代の景観が現在も見られのが特徴です。
登録されている主な構成資産
ゼーランディア要塞
歴史地区の東側に位置し、1667年に建造されたパラマリボ最古の建築物。要塞ではあるものの、敷地内には官舎や刑務所、倉庫、衛兵所などがあります。旧官舎は木造の2階建ての建造物で、軍事刑務所はレンガ造りのもの。
大統領官邸
要塞の近くに位置する白い建造物は現在の大統領官邸。1730年に建造されたもので、かつては総督府として利用されたコロニアル様式の建造物です。ここは1階だけが石造りで上層階は木造となっています。
大聖堂(聖ペトロ・パウロ大聖堂)
19世紀に劇場だった場所を教会として使用し、1885年に完成したという変わった経歴を持つ大聖堂。ここはローマ・カトリックの大聖堂で、1901年になるとようやく2つの尖塔が完成。ヒマラヤスギを使用したというスリナムらしい建築物でもあります。
パラマリボ市街歴史地区はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
パラマリボが評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
パラマリボに残る建築物は、ヨーロッパの建築様式に南米固有の素材を利用し、現地の工芸品などを融合したもので、独特の建築様式であるということ。
登録基準(iv)
パラマリボは16〜17世紀に築かれた植民都市で、オランダの文化と南米の先住民の文化が組み合わさったユニークな都市であったという点。
世界遺産マニアの結論と感想
オランダの植民地であったパラマリボには、オランダの建築様式をベースに、アジア、アフリカ、クレオール文化などを導入した独特の木造建築が並ぶようになり、南米におけるスペインやポルトガルとは違う町並みが評価されています。
ちなみに、現在のスリナムはなんと労働者であったインド系住民が多いという不思議な国家に。しかし、かつての宗主国であった、オランダ語が公用語になっているという実に複雑な社会になっているのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。