登録区分(暫定リストに記載) | 文化遺産 |
登録基準(暫定リストに記載) | (1), (2), (3), (4), (6) |
申請年(暫定リスト) | 2015年 |
ドイツ南部のバイエルン地方にある、ノイシュヴァンシュタイン城は、ドイツ有数の観光地で世界遺産に登録されていると思いきや…実は世界遺産じゃないんです。これだけ有名な観光地なのになぜ?
ここではノイシュヴァンシュタイン城が、なぜ世界遺産でないのか?世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ノイシュヴァンシュタイン城について詳しくなること間違いなし!
ノイシュヴァンシュタイン城とは?
ドイツ南部のバイエルン州に位置するノイシュヴァンシュタイン城は、オーストリア国境の近くにある壮麗な城です。ここは、バイエルン王のルートヴィヒ2世(1845〜1886年)によって19世紀に建造されたもの。ノイシュヴァンシュタイン城は、ドイツ語でいうと「新白鳥石城」という意味で、近隣にあるシュヴァンシュタイン城(現在のホーエンシュヴァンガウ城があった場所)が「白鳥石城」であったため、この名が付けられました。
ルートヴィヒ2世は幼い頃から中世騎士道に没頭していて、彼が即位した後、中世風のメルヘンなデザインの城を建設。舞台演出家によってデザインされたために外観は煉瓦の上に石灰石をかぶせる一方、基礎部分はコンクリートを使用したりと近代的な技術が使用されました。よって、城としての機能はほぼなく、どちらかというと、ルートヴィヒ2世の「私邸」のような存在であったのです。
ノイシュヴァンシュタイン城はなぜ世界遺産として登録されないの?
もちろん、ドイツ政府もこの城の価値を理解しているので、2015年には「バイエルン王ルートヴィヒ2世の宮殿群:ノイシュヴァンシュタイン、リンダーホーフ、シャッヘン及びヘレンキームゼー~夢から現実へ」として、周辺のヘレンキームゼー城とリンダーホーフ城を合わせて、世界遺産の暫定リストとして登録しています。しかし、この「暫定リスト」というのはあくまでも「世界遺産候補」というだけであって、正式に世界遺産に認められるには、毎年開催される世界遺産委員会にて、文化遺産としてふさわしいか専門調査が行われた後、委員会で決定され、初めて世界遺産になるのです。
実は、ドイツには暫定リストに登録された物件が少なくとも10近くあり、ある意味「世界遺産登録待ち」の遺産がたくさんあり、そして、2025年には正式にドイツ政府から推薦されることとなりました。
ノイシュヴァンシュタイン城はどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?
ノイシュヴァンシュタイン城が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
登録基準(ii)
登録基準(iii)
登録基準(iv)
登録基準(vi)
この地に残るノイシュヴァンシュタイン城、リンダーホーフ城、シャッヘンの王の家、ヘレンキームゼー城は、ルートヴィヒ2世の理想を描いた建造物であり、19世紀にこの地で発展したユニークな文化を示すものであるという点。一方、これらの建造物の建築様式は19世紀の時点で、既に過去の時代だったものをあえて再現した「芸術」であり、王の理想郷として建造したことで、中世から19世紀後半までのヨーロッパの建築技術が詰まった作品であるという点。
ディズニーの城のモデルでもあった?
世界遺産としては微妙な立ち位置にいるノイシュヴァンシュタイン城ではありますが、この城が世界的に知名度が高い理由の一つは、アメリカのアナハイムにあるディズニーランドの「眠れる森の美女」の城のモデルとなったということ。これはディズニーランドの公式でも認められていて、インスパイアされたのは事実。
ある意味、「ヨーロッパの城らしい城」のイメージを作ったということで、世界遺産級の活躍はしています。
世界遺産マニアの結論と感想
世界遺産が発足した当時なら美しい城は登録候補として選ばれたかもしれませんが…あくまでも19世紀に築かれた「王の趣味的な建造物」であったために、「普遍的な価値」を認める世界遺産の理念とは少し違ったのでしょう。しかし、一周回って、「ルートヴィヒ2世が実現した理想の世界は価値があるのでは?」ということで、ここを全面に押して世界遺産の暫定リストに加えられました。このような解釈で登録されるのも面白いと思うので楽しみではあります!
あと、単純にノイシュヴァンシュタイン城は世界遺産でなくても、割と観光客が来るし、その価値は認められているので、あえて世界遺産にしなくても…というのが個人的見解でもあるんですけどね。世界遺産に登録されてしまうと、開発が制限されてしまうので、住民としてはどうなのかなーと思ったりして心配ではあります。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。