登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | 2016年 |
登録年 | (1), (2), (6) |
国立西洋美術館は「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」の構成資産の一つ。近代建築の三大巨匠の一人、ル・コルビュジエの晩年の作品で彼の提唱した「無限成長建築」を実現した美術館。ところで、国立西洋美術館はなぜ含まれたのでしょうか?
ここでは、今回は国立西洋美術館がなぜ世界遺産の構成資産に含まれたのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、国立西洋美術館について詳しくなること間違いなし!
国立西洋美術館とは?なぜ世界遺産に登録されたの?
ル・コルビュジエは、近代建築の三大巨匠の一人として有名。彼はスイス生まれの建築家で1922年にパリで事務所を構え、本格的に活動をスタートすると『建築をめざして』という著作を発表。彼は機能的で合理的なデザインを追求し、20世紀の建築や都市計画に大きな影響を与えました。それは今までの西洋建築の基本だった壁を使用せず、柱で床を支えるという建築構造が革新的だったというのが理由です。
世界遺産としては、4つの大陸、17もの彼の作品群が登録されているのですが、東京の上野公園にある国立西洋美術館もその一つ。作品としては1955年と彼の晩年の作品で、本館の設計はル・コルビュジエによるものですが、彼はあくまでも設計担当で、彼の弟子である前川國男・坂倉準三・吉阪隆正の3名によって実施設計がされ、完成に至っています。
ここは2階建ての建造物で、ル・コルビュジエの「無限成長建築」というコンセプトのもと、来館者は中心から渦巻状に展示物を眺めるということだけでなく、拡張が必要となったら外側に建築物を継ぎ足すことが可能というのが最大の特徴です。そして、天井が低く、窓から自然光を取り入れ、明るさを調整できるという構造ではあるものの、現在は蛍光灯を使用。
1996年には免責工事を行ったものの、建物には手を加えず、地下の基壇部分に入れられ、すべての地盤から絶縁するという構造に変更するという工事が2020年から行われ、前庭の彫刻の配置もコルビュジエの設計通りに元に戻し、植栽なども調整して、開館当時の姿に戻されました。
国立西洋美術館はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
国立西洋美術館が評価されたのは?以下の点。
登録基準(i)
ル・コルビュジエの建築作品は、人類の想像的才能を示す傑作であり、20世紀の建築や社会における課題を解決するものであったということ。
登録基準(ii)
ル・コルビュジエの建築作品は、近代建築の誕生と発展に深く関係し、半世紀以上に渡って、4つの大陸の建築に前例のない影響を与えていて、世界規模での人間の価値交換を示すものであるという点。
登録基準(vi)
ル・コルビュジエの建築作品は、「近代建築」に直接関連していて、20世紀にその理念と作品が重要性を持ち、これらは建築や絵画、彫刻などと融合を示し、半世紀に渡って世界で広まった「新しい建築様式」を表したものであったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
世界中にあるル・コルビュジエの建築作品は、彼が発展させた「近代建築」の代表的な例で、彼が有名になっていくと、世界中からオファーを受け、制約から自由になった建築スタイルが世界中に広がっていったという点で評価されています。日本の国立西洋美術館もその一つであったということ。
ちなみに、国立西洋美術館といえば、オーギュスト・ロダンの『考える人』で有名ですが、実はこれ『地獄の門』というダンテの神曲を表した作品の一部分だったもの。実は『地獄の門』は世界で7つもあり、『考える人』は門の上に置かれた像だったのですが、人気があったため、オリジナルは行方不明のものを含めても30体も存在しています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。