中国の世界遺産候補「天安門広場」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分(暫定リストに記載)文化遺産
登録基準(暫定リストに記載)(1), (3), (4), (6)
申請年(暫定リストに記載)2013年

天安門広場は「北京の中心軸:中国の首都の理想的秩序を示す建築物群」の構成遺産の一つ。天安門は紫禁城の第1門であった門で、中華人民共和国が成立した後は、国家のシンボルとなっている場所。ところで、天安門広場はなぜ世界遺産候補なのでしょうか?

ここでは天安門広場がなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、天安門広場について詳しくなること間違なし!

目次

天安門広場とは?紫禁城の一部だった?

天安門

画像素材:shutterstock

呼び方は「てんあんもん」。かつての北京の中心部であり、王宮であった紫禁城の第一門でもありました。もともとは明(1368〜1644年)の時代に門が建造されるものの、何度か再建を繰り返し、1651年に築かれた際に満州語で「天命を受けて安定した国を治める」という意味の「天安門」と名付けられたもの。ここは政府から法律や命令が発表されたり、凱旋した軍隊と皇帝が謁見する場でもありました。

しかし、過去の天安門は1969年に老朽化のため解体。現在の門は1970年に再建されたもので、楼閣部分の一部には古材などが使用されているものの、実は現代建築です。よって、楼閣の中には政府の要人が休息するための椅子やソファーが置かれているのが特徴。

天安門広場

画像素材:shutterstock

門の前の広場は1954年に作られた広場で、周囲には人民大会堂や中国国家博物館なども併設。1949年に毛沢東が中華人民共和国の建国宣言をこの門で行ったためにここは中国のシンボルとなりました。ここは南北880m、東西500mという構造で、最大で50万人もの人々を収容できるほどに広大。

広場の中央には、防腐処理を施した上で保存された毛沢東の遺体が置かれた「毛主席紀念堂」があることでも有名。ここは「天安門事件」と呼ばれる事件が起きた場所ではあるものの、観光スポットであるために、多くの警備兵が常に待機しています。

天安門広場はどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?

画像素材:shutterstock

天安門広場が評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
北京の中心軸は、8世紀に渡って発展し、宮殿や庭園、公共施設、広場など、歴史的な遺構を中心とした統一空間が広がっていて、北京の中核として古代から現代まで続く都市計画の傑作でもあります。ここは中国の科学や美術、古代哲学を持ってどのように設計し、これを通じて社会をどのように形成されたのかを明らかにしているという点。

登録基準(iii)
北京の中心軸とその周辺地域は、宮殿や官庁、寺院、祭壇、邸宅、城門など、壮麗な建築物が並び、中国の祭祀、文化、習慣、風水などの多様性が見られ、社会だけでなく、文化としての価値が今でも生き続けているということ。

登録基準(iv)
中国の都市計画は、「天地の観察」、「儀式」、「自然景観を合わせた設計」という3つの概念があります。北京は北極星の真下に築かれ、まさに「天地の観察」を反映し、宮殿や市場、西側に祖先の祠、東側に祭壇などの都市計画は伝統的な「儀式」の影響が示していて、中心軸には自然環境との調和が見られ、合理性が反映されたもの。これらは伝統的な中国の哲学が見られ、1000年に渡る中国の首都計画の発展がよく保存された例であり、明と清の時代の首都の設計と建築物の頂点であり、東洋における都市計画の傑出した例であるという点。

登録基準(vi)
モンゴル人の元王朝によって築かれ、中国全土を支配すると、当時の大都(北京)はまさに天地の中心でもあるとされていました。北京の中心軸は首都の軸というだけでなく、国全体の中心であり、この地を中心に各地方を結んでいました。ここは国と都市の中心軸であり、自然や儀礼まで統合され、宋以降の朱子学の理想的な都市計画を組み合わせた最高のモデルであります。中国の哲学の真髄であり、都市計画と自然環境の伝統が見られるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

天安門は、復元されたものですが、歴史的な価値があり、ここは北京の中心軸に位置していて、中国古来の都市計画や文化の伝統を残しているという点で評価されています。

ちなみに、天安門というと毛沢東の肖像画のイメージがあると思いますが、現在の人民服を着た姿は1950年代から登場した2代目の肖像画から。しかも、建国当初からは4回もバージョンが変わっていて、肖像画自体は10年ごとに更新されているのですが、見比べることもできないのでいつも同じに見えますよね…。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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