レバノンの世界遺産「アンジャル」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(3),(4)
登録年1984年

レバノンの東部べカー高原に位置する都市遺跡で、ここは8世紀にウマイヤ朝のカリフ、アル・ワリード1世の保養地として建造された都市で、レバノンで唯一残るウマイヤ朝時代の遺跡。現在の遺跡は、ウマイヤ朝以前のビザンツ帝国時代に築かれた王宮の一部を復元しています。

ここではアンジャルがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、アンジャルについて詳しくなること間違いなし!

目次

アンジャルとは?

アンジャル
画像素材:shutterstock

首都ベイルートから東へ約50kmの距離にあり、ベカー高原に残る遺跡。ここはベイルートから現在のシリアの首都であり、かつてのウマイヤ朝(661〜750年)の首都であったダマスカスのルートを結ぶ中継地で、1940年代に発見されたもの。アンジャルは8世紀にアル・ワリード1世(674〜715年)の命によって建造されたとされ、ローマ帝国やビザンツ帝国時代の遺構を再利用したもの。

アンジャルは、40もの塔を持つ城壁に囲まれた、長方形の城塞都市で、下水道も網羅されているほど高度に設計された都市でした。敷地内にはカリフが住んでいた宮殿やモスクがあり、他には公共浴場、小さな宮殿、邸宅などが並びます。

しかし、ここは完成することがなく、744年に部分的に破壊された後は放棄されました。そういった事情もあり、ここに残る建造物はイスラム初期に建造され、それ以前に支配していたビザンツ帝国の建築からイスラム建築への移行期が見られ、建築技術の進化を示すもの。現在はビザンツ帝国時代の王宮の跡地が復元されていて、聖堂建築様式のアーチが見られます。

アンジャルはどんな理由で世界遺産に登録されているの?

アンジャル
画像素材:shutterstock

アンジャルが評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
アンジャルの遺跡は、ウマイヤ朝時代に設立され、短期間で放棄された都市の存在を示すという点。

登録基準(iv)
アンジャルの遺跡に残る建築や装飾などは、ビザンツ帝国時代からイスラム建築の変遷が見られ、8世紀のカリフによる優れた都市計画が今でも残るということ。

世界遺産マニアの結論と感想

アンジャルは、8世紀に放棄されたため、数少ないウマイヤ朝時代の建造物が見られ、これらはビザンツ帝国時代の名残も残しつつ、当時の優れた都市計画が見られるという点で評価されています。

ちなみに、かつてはイスラム都市でありましたが、現在のアンジャルは、避難してきたアルメニア人の居住区となっていて、アルメニア教会まであるキリスト教エリアとなっています。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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