メキシコの世界遺産「エル・ピナカテとアルタル大砂漠の生物圏保護区」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分自然遺産
登録基準(7), (8), (10)
登録年2013年

メキシコ北西部、東側にある、黒と赤の溶岩流と砂漠が細長く続くエリアが見られる「エル・ピナカテ(ピナカテーカ楯状火山)」、西側にある、絶え間なく変化する砂丘が続く「グラン・アルタル砂漠」の2つが世界遺産に登録。ここには縦縞や星型、ドームのような砂丘や花崗岩の山塊などが見られ、完全な円形のクレーターは10箇所も位置し、火山の噴火と崩壊によって形成される美しい景観が並ぶもの。

ここではエル・ピナカテとアルタル大砂漠の生物圏保護区がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、エル・ピナカテとアルタル大砂漠について詳しくなること間違いなし!

目次

エル・ピナカテとアルタル大砂漠の生物圏保護区とは?

アルタル大砂漠
画像素材:shutterstock

メキシコ北西部にある2つの地形は、北米四大砂漠の一つである広大なソノラ砂漠に含まれているもの。ここは2つの異なる自然景観で構成され、東側は「エル・ピナカテ」が広がっています。ここは黒と赤の溶岩流と砂漠が細長く続き、楯状火山(底面積の広い火山)が見られ、巨大で広いという完全な円形のクレーターが10箇所も広がっています。

西側の「アルタル大砂漠」は、北アメリカでも最も活発な砂丘地帯で、西はコロラド川のデルタ地帯、南はカリフォルニア湾まで続く広大なエリア。砂丘は高さ200mにもなり、砂漠には花崗岩の山塊が島のように点在します。山塊には独特の植物と野生動物が生息しているのが特徴。登録エリアには、540種以上の維管束植物、44種の哺乳類、200種以上の鳥類、40種以上の爬虫類、数種類の両生類、2種の固有種の淡水魚と亜熱帯砂漠の生態系が見られます。

エル・ピナカテとアルタル大砂漠の生物圏保護区はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

エル・ピナカテ
画像素材:shutterstock

エル・ピナカテとアルタル大砂漠が評価されたのが、以下の点。

登録基準(vii)
火山と砂丘の両方が組み合わされた景観が見られ、楯状火山には多様な火山現象や地層が続き、10もの巨大で完全なるクレーターで構成。砂丘は標高200mにも達し、縞状や星型、ドーム型の砂丘など絶えず変化し、砂漠内には花崗岩の山塊が存在し、非常に多様な砂漠景観が見られるという点。

登録基準(viii)
楯状火山を囲むように存在する砂漠は、北米でも最も活発的な砂丘が存在し、星型の砂丘や全長約48kmもの尾根のような砂丘などが見られます。大きなクレーターや400以上の噴石丘、溶岩流、溶岩洞など、地質学や地形学の研究において重要であるということ。

登録基準(x)
非常に多様な生息地であり、動植物も多様性が見られ、砂漠地帯でもあるにもかかわらず、540種以上の維管束植物、44種の哺乳類、200種以上の鳥類、40種以上の爬虫類が生息。2つの淡水魚など、いくつかの固有種も見られます。アメリカ合衆国のアリゾナ州南西部とソノラ州の北西部だけに生息する絶滅危惧種で固有種であるソノラ・プロングホーンも暮らしているという点。

世界遺産マニアの結論と感想

ここはエル・ピナカテとアルタル大砂漠という2つのエリアに分かれ、北米で最も活発な砂丘と大きなクレーターなど、火山の噴火と崩壊による地形は地形学や地質学の研究において重要で、砂漠地形であるにもかかわらず、多様な動植物が見られ、固有種まで存在するという点で評価されています。

ちなみに、アルタル大砂漠は月の表面とよく似た地形ということで、NASAの宇宙飛行士がここで月面歩行の練習場所として使用したことも。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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