登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3), (4), (6) |
登録年 | 1984年 |
レバノン中部の港町であるビブロスは、新石器時代から人が住んでいて、7000年にも渡る歴史を誇ります。ここではパピルスを輸入していたことからギリシャ人がそれをバイブルと呼び、後に「聖書(バイブル)」の語源となったことで有名。1922年にはアルファベットのルーツとされるフェニキア文字の碑文が発見されています。
ここではビブロスがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ビブロスについて詳しくなること間違いなし!
ビブロスとは?
首都ベイルートから北へ約40kmの距離にあり、砂岩の崖の上に築かれた港町。ここは新石器時代から人が住んでいた跡が残り、地中海東岸で交易を行っていたフェニキア人発祥の地として有名。紀元前3000年ころの神殿が発見されており、かつてはさまざまな民族が訪れた港町でした。
ここは地中海の玄関口でもあり、エジプトやアッシリア、バビロニア、アケメネス朝ペルシャなどの民族に支配されつつ、各地との交易で繁栄しました。ビブロスはフェニキア時代の遺構やオベリスク神殿、ローマ時代の円形劇場や街道、ビブロス城(十字軍時代の要塞)、オスマン帝国時代の旧市街など、7000年にも渡る地中海の歴史が一つの都市で見られるという点で貴重なもの。
「ビブロス」はギリシャ語の「聖書(バイブル)」の語源となっていて、これはビブロスからレバノン杉を輸入していたエジプトが代価としてパピルスを輸出していて、古代ギリシャの都市国家の商人がこの地を訪れ、それを輸入したことから、パピルスを「ビブロス」と呼んだことから生まれた言葉でもあります。
そして、1923年にはがけ崩れによって王墓が出現し、そこではフェニキア文字の碑文が発見され、これは紀元前9〜8世紀ころに作られた最古のフェニキア文字の碑文でもあります。フェニキア文字はアルファベットのルーツとされるもので、人類においては非常に重要な発明でもありました。
ビブロスはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ビブロスが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
ビブロスは、フェニキア人による文明の発祥を示す都市であるという点。
登録基準(iv)
ビブロスは青銅器時代以来、地中海世界における主要都市の一つであったというほどで、現在でも各時代の都市構造が見られるということ。
登録基準(vi)
ビブロスで発見された、アヒラム王の石棺のフェニキア文字の碑文やビブロス城の碑文などは、アルファベットのルーツと考えられるフェニキア文字の普及と歴史に直接関連しているという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ビブロスは、古代の地中海で商人として繁栄したフェニキア人のルーツ的な都市で、ここはかつての地中海世界の主要港であり、大いに繁栄し、都市の発祥から今に至るまでの歴史が見られます。そして、この地はアルファベットのルーツであるフェニキア文字最古の碑文が発見されたことでも評価されています。
ちなみに、アヒラム王の石棺を発見したピエール・モンテは1940年にエジプトのタニスでツタンカーメンの王墓に次ぐ、手つかずのままの王墓を発見したことでも有名。「プスセンネス1世の黄金のマスク」はツタンカーメンのように豪華なのですが、あまり知名度がないのが残念。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。