イギリスの世界遺産「イングランドの湖水地方」とは?ピーターラビットの関係を含めて世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2), (5), (6)
登録年2017年

英国北西部に位置する湖水地方は、氷河期に形成された氷河によって渓谷が広がり、細長い湖と合わさった美しい景観が広がる地域。ここはハードウィックなどの在来種の羊が放牧された、絵画のような景観「ピクチャレスク」が18世紀以に評価されています。ビアトリクス・ポターの『ピーターラビットのおはなし』はこの地の自然がモチーフになっていることでも有名。

ここではイングランドの湖水地方がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、イングランドの湖水地方について詳しくなること間違いなし!

目次

イングランドの湖水地方とは?『ピーターラビットのおはなし』のモチーフになった場所

イングランドの湖水地方
画像素材:shutterstock

英国の北西部・カンブリアに位置する湖水地方の中でも約2300平方kmもの広大な敷地が世界遺産に登録。ここは中央の山塊から放射状に氷河が渓谷を形成し、丘陵と細長い湖が並ぶという景観が続くのが特徴です。

特にハードウイック種と呼ばれる在来種の羊が見られ、これは湖水地方独自の農牧畜がこの地でずっと続けられてきたということを示すもの。この地には石垣に囲まれた草原と農場が壮大な自然と調和の取れた景観が今でも広がっています。

ヒル・トップ/イングランドの湖水地方
画像素材:shutterstock

湖水地方は大自然の中に別荘や庭園など、絵を描いたような美しさが意図的に作られ、これは18世紀の英国で流行した絵画的な価値を景観に持ち込むという「ピクチャレスク」として人々を魅了してきました。特にビアトリクス・ポター(1866〜1943年)はこの地を愛し、『ピーターラビットのおはなし』を執筆したことでも有名。他にも、この地を訪れた芸術形は絵画や詩、文学作品などでも湖水地方がモチーフにしています。

これらにより、自然と人間の新たな関係を生み出され、現在ではナショナル・トラスト(歴史名所や自然を保護するためのボランティア団体)が全体の20%を所有するなど、法的に自然を保護するという、今では当たり前ですが、当時としては新しい概念へと繋がりました。

イングランドの湖水地方はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

イングランドの湖水地方
画像素材:shutterstock

湖水地方が評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
湖水地方は、農業と牧畜の土地利用と、氷河によって形成された丘や渓谷、湖などの自然景観との相互作用が見られます。18世紀に英国で流行した、イタリアと北欧の風景画に関連した「ピクチャレスク」運動によってこの地は称賛され、この景観そのものの価値を見出すようになり、景観の保全と自然を楽しむという概念は世界に影響を与えたという点。

登録基準(v)
湖水地方の景観は1000年以上に渡って、山岳地帯に対応するために北ヨーロッパの高地で行われた農牧畜が見られ、それに18〜19世紀に別荘や庭園が加えられ、人間と環境との相互作用が見られる文化的景観が維持されてきたということ。

登録基準(vi)
湖水地方は、絵画のような景観が広がっていて、ここは誰でも自然を鑑賞して楽しむという概念が生まれ、また景観を保護・管理する必要性からナショナル・トラスト運動が発展し、その活動が多くの国に広がっていきました。ナショナル・トラストが土地所有を広げていくことで、その結果、湖水地方では鉄道やその他の近代的な産業が見られなくなったという点。

世界遺産マニアの結論と感想

湖水地方は、自然が美しいイメージですが、世界遺産としての価値は文化的景観。この地では、1000年以上に渡って発展した農牧畜が見られ、18世紀になると別荘や農園が加わり、それが英国で流行したピクチャレスクとして称賛され、自然を楽しみ、保護していくという概念へと繋がったもの。その後、英国ではナショナル・トラストのような保護活動が盛んになり、ボランティア団体によって今でも湖水地方は文化的景観が保持されているという点で評価されています。

ちなみに、ビアトリクス・ピターが晩年に過ごしたヒル・トップは、まさに『ピーターラビットのおはなし』の世界が広がる場所。彼女は絵本作家ではあったものの、農場を経営していたり、ピーターラビット関連のグッズを企画したりと、割と実業家的な側面があり、イメージとは少し違った一面もある人物ですね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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