登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (3), (4) |
登録年 | 1998年 |
キプロス島の南部に位置するヒロキティアの遺跡は、紀元前7000年〜紀元前4000年の新石器時代に先住民が暮らしていた集落遺跡。ここではアジアから新石器文明が伝えられ、この地を通じて地中海全体に文明が広がっていったという過程が見られます。
ここではヒロキティアがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ヒロキティアについて詳しくなること間違いなし!
ヒロキティアとは?
キプロス島の南海岸から約6kmに位置するヒロキティアは、マロニ川渓谷の丘の傾斜地にあり、ここは紀元前7000年〜紀元前4000年ころの新石器時代の集落遺跡でもあります。この地には紀元前9000年ころに現在の中近東から訪れた農耕民によって文明が築かれ、彼らによってキプロスの新石器時代がもたらされました。
集落は、石を並べて円形の基礎を作り、日干しレンガや石を積んで形成された円筒形の建造物が並びます。これらは直径は2〜9mと広さに関してはかなり幅があり、高さは最大で3mほど。住宅の構図にはなっているものの、土の床の下は墓になっていて、屈葬にして埋められていました。遺跡からは火打ち石、骨を使った道具、石の容器、動物の骨などが発見され、石で作られた人型の置物などもあり、当時の暮らしが垣間見られます。
この考古学遺跡からは、キプロス島を通じて地中海全体に文明が広がっていたという過程が見られるというのが特徴。
ヒロキティアはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ヒロキティアが評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
ヒロキティアは、キプロスは中近東からヨーロッパへと文化の伝達において重要な役割を果たしたという点。
登録基準(iii)
ヒロキティアは、アジアから地中海世界への文明の広がりの過程を示す遺跡で、今後も新たなる発見が期待でき、さらにはよく保存された考古学遺跡であるということ。
登録基準(iv)
ヒロキティアの遺跡とまだ発掘されていない箇所を含めて、地中海地域の原始集落の起源を示すという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ヒロキティアは、地中海地域の原始的な集落のルーツ的存在で、この遺跡は新石器時代の文明が中近東から地中海世界へと文明の伝達を示すという点で評価されています。
ちなみに、キプロスには約1万500年〜9000年前に使用されていたとされる井戸が発見されていて、これは世界で最も古い井戸の一つであると考えられています。キプロスは島ではあるのですが、世界史においては重要な場所なのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。