インドの世界遺産「ゴアの教会群と修道院群」とは?ザビエルの墓も含めて世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2),(4),(6)
登録年1986年

インド南西部にある港町ゴアは、かつてのポルトガル領であった場所で、ここはローマ・カトリックによるアジア布教の中心地でもありました。かのイエズス会のフランシスコ・ザビエル(1506〜1552年)が来訪し、彼の遺体を納めたルネサンス様式とバロック様式のボン・ジェズス・バシリカや、マヌエル様式のセー大聖堂など、アジア各国にヨーロッパの芸術を広める起点ともなったのも特徴。

ここではゴアの教会群と修道院群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ゴアの教会群と修道院群について詳しくなること間違いなし!

目次

ゴアの教会群と修道院群とは?

セー大聖堂(セ司教座聖堂)/ゴアの教会群と修道院群
画像素材:shutterstock

インドの西海岸に位置するゴア州は、かつてインドにおけるポルトガル領(1510〜1961年)の首府であった旧ゴアがあった場所。ここはポルトガルのアジア交易の拠点となり、街は要塞で囲まれ、キリスト教化が進んでいきました。ポルトガルの首都リスボンと定期航路が結ばれたため、アフリカの拠点を経由して海上貿易が行われ、「東洋のローマ」と呼ばれるほどに繁栄。

1534年にローマ・カトリック教会の大司教座が置かれると、多くの宣教師が訪れ、その中にはイエズス会の創設メンバーの一人、フランシスコ・ザビエルもいて、日本を訪れた宣教師もこの地を経由していました。ここはアジアにおけるキリスト教の布教の起点でもあり、街はイスラムやヒンドゥー教の寺院が壊され、ルネサンス様式、バロック様式、ポルトガル独自の海にまつわる装飾がされたマヌエル様式などの聖堂や修道院が多く建造。その中でもいくつかのキリスト教関連施設が世界遺産に登録されています。

登録されている構成資産

セー大聖堂(セ司教座聖堂)

セー大聖堂(セ司教座聖堂)/ゴアの教会群と修道院群
画像素材:shutterstock

1619年に建造された大聖堂で、ゴアにおける司教座でもある場所。もともとは1510年にこの地にポルトガルが占領したことを記念して大聖堂が建造されたものの、現在の大聖堂は1619年に再建されました。ここはポルトガルのマヌエル様式で建造され、もともとは2つの塔があったのですが、片方は1776年に崩壊したため、現在では一つだけ。祭壇はアレクサンドリアのカタリアに捧げられ、金で装飾された豪華なもの。

ボン・ジェズス・バシリカ(ボム・ジェズ教会)

ボン・ジェズス・バシリカ(ボム・ジェズ教会)/ゴアの教会群と修道院群
画像素材:shutterstock

1549年に着工し、1605年に完成したバシリカ。「ボム・ジェズ」とは「良いイエス」という意味。インドで最初に建造されたバシリカで、ポルトガル植民地における代表的なバロック様式の建造物でもあります。

ここにはフランシスコ・ザビエルの亡骸が聖遺物として保管されたことでも知られ、彼は中国で死去したのですが、その後、聖遺物はマレーシアのマラッカへ移動し、ゴアへと運ばれたもの。

ゴアの教会群と修道院群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ボン・ジェズス・バシリカ(ボム・ジェズ教会)/ゴアの教会群と修道院群
画像素材:shutterstock

ゴアの教会群と修道院群が評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
ゴアでは16〜18世紀にかけてさまざまな建築が建造され、ここはキリスト教関連の建築や彫刻、絵画の発展が見られ、「東洋のローマ」と呼ばれるほどになり、この地からアジア各国にカトリックの伝道所が拡大していったという点。

登録基準(iv)
ゴアの教会群と修道院群は、ラテンアメリカに匹敵するほどにキリスト教関連の建造物が数が多く、アジアの宣教師たちの伝道を示す建築群であるということ。

登録基準(vi)
ボン・ジェズス・バシリカでは、フランシスコ・ザビエルの墓だけでなく、インド人や日本人の使徒の墓があり、ここはアジアにおけるローマ・カトリックの伝道が見られるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

ゴアはポルトガルのアジア交易の拠点であり、ポルトガル本土からアジア布教のための伝道師の拠点でもあったことから、ここで確立された建築や彫刻、絵画などがアジア各地の伝道所で見られ、ラテンアメリカに匹敵する規模になったということで評価。そして、フランシスコ・ザビエルの墓があるだけでなく、日本人の使徒の墓があることから、キリスト教がアジアで広く布教したということを示すものであるというのもポイントです。

ちなみに、ザビエルはイエズス会の創設メンバーであるだけあって、遺体は聖なるものとして崇められ、ゴアだけでなく、右腕はマカオ、耳・毛はリスボン、歯はポルト、足の指は生まれ故郷のハビエル城などに保存されています。…まるで仏塔のよう。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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