登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2),(3),(4) |
登録年 | 1998年 |
ベルギー西部のフランドル地方は、敬虔な生活を送ることを目的とした女性だけの共同体・ベギン会の施設(ベヘインホフ)が点在。ここには宿舎、教会、中庭などがあり、中世ヨーロッパで普及したベギン会の思想などが見られる建築物でもあります。
ここではフランドル地方のベギン会修道院群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ベギン会修道院群について詳しくなること間違いなし!
フランドル地方のベギン会修道院群とは?
そもそも「ベギン会」とは、13世紀の中世ヨーロッパで生まれた、キリスト教徒の未婚の女性もしくは未亡人による共同体のこと。修道女とはまた異なり、教育や執筆、看護、工芸などさまざまな仕事をして生計を立てていたというのが特徴。彼女たちが暮らしたのは、オランダ語でベヘインホフという名の専用の施設で「修道院」と訳されるされることもありますが、本質的には修道院とは違って、どちらかというと集合住宅のような建物でした。
ベヘインホフは中世ヨーロッパで発展した施設で、堀などに囲まれていて、そこには住宅や教会、中庭などがあり、中には病院や学校もある施設も。特に首都ブリュッセル近くのルーヴェンの施設は最盛期は200名は暮らしたというベルギーでも最大の施設でした。
しかし、18世紀のフランス革命時に資産を没収されてしまい、衰退しますが、いくつかの箇所で跡地が残され、ベルギー国内の13の施設が世界遺産として登録されています。
ブルッヘ(ブルージュ)のベギン会館(修道院)
ベルギー北西部のブルッヘにある施設で、ここは13世紀にフランドル伯の妻によって創建されたもの。ここは居住者が去った後は、ベネディクト会の修道女によって修道院として活用されています。
フランドル地方のベギン会修道院群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ベギン会修道院群が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
フランドル地方のベギン会館は、設計そのものが秀逸なもので、フランドル地方の文化が見られる伝統建築や宗教施設などが組み合わさって構成されているという点。
登録基準(iii)
フランドル地方のベギン会館は、中世の北西ヨーロッパにおける敬虔なキリスト教徒の女性たちによる共同体の存在を示すものであるということ。
登録基準(iv)
ベギン会は、宗教的な面と世俗的な面が見られる半聖半俗の共同体で、彼女たちによって中世における独自の施設を築き上げていったという点。
世界遺産マニアの結論と感想
フランドル地方のベギン会館は、修道女とはまた違って、さまざまなお仕事を請け負った組織であったというのがまた特徴。そして、彼女たちが暮らした会館は、宗教的な建造物もあれば、フランドル地方独自の伝統建築もあり、かなり独特なものであったというのが評価されています。
ちなみに、修道女と違い、ベギン会は花嫁修業の場としての側面もあって、共同体によって施設を出れば結婚することも可能だったとか。しかし、男性との食事が禁止だったり、看護する時は2名で1組だったりと、なるべく男性と触れ合わないようにしていた施設もあったりと、共同体によってルールはさまざまだった様子。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。