登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3), (4), (6) |
登録年 | 2008年 |
中国南東部の福建省の内陸には、13〜20世紀にかけて土楼と呼ばれる中庭を円形や方形で囲んだ集合住宅があります。これらは漢民族である客家によって建造されたもので、厚い土壁で囲んでいるために砦としての機能もあるのが特徴。土楼は800人もの人々が暮らせるほどの広さで、どの階も同じ面積の部屋が続くような平等な構造になっています。
ここでは福建土楼がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、福建土楼について詳しくなること間違いなし!
福建土楼とは?
福建省南西部の約120knもの範囲には、土楼と呼ばれる集合住宅が点在しています。ここは漢民族でもこの地方に移り住んだ客家によって、山間の渓谷に広がる米やお茶、タバコの畑の中に建造されたもの。現在も46もの土楼が残っていて、最大で800人もの人々が暮らすことができ、円形または方形であるのが特徴。
どの土楼も入口は一つで、外壁は180m以上もの厚さを持ち、下階には窓がなく、上階には窓と銃のための狭間が設けられています。これらは軍事目的で築かれたもので、盗賊からの侵入を防ぐという役割も持っていました。
それぞれの土楼は一族全体が住むという村のような存在となっていて、外観は質素であるものの、内部は中庭沿いに部屋が広がっていて、集団で生活できるような快適な空間が広がっています。そして、各部屋には精巧にデザインされた内装が施されているという独特な構造。
どの部屋も同じ大きさの造りとなっていて、平等を重視した構造となっているという点がユニーク。そして、建築や景観は風水を採り入れ、周辺の景観との調和が見られるというのも土楼の特徴でもあります。
福建土楼はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
福建土楼が評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
土楼は、洗練された伝統建築とその調和・協力の思想を反映した共同生活が見られ、長年に渡る伝統文化を残しているという点。
登録基準(iv)
土楼は、その大きさ、建築様式、機能性という点でも例外的で、この地域の経済と社会における段階を反映したもの。
登録基準(v)
土楼は、人間の居住地として、共同生活と防衛を反映した独特のもので、周囲の環境との調和が見られるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
福建省に残る土楼は、共同体が快適に暮らすための建築構造と機能性、そして、防御システムを備えた独特の住宅群で、この地域における社会や経済を反映しているという点で評価されています。
ちなみに、現在は観光地ともなっている土楼ですが、軍事基地としては非常に優秀で、20世紀の農民の反乱の際に、政府軍が対応を何発を打ち込んでも外壁が少し凹んだ程度だったとか。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。