インドネシアの世界遺産「サワリントのオンビリン炭鉱遺産」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2),(4)
登録年2019年

スマトラ島の西部にあるサワリントの炭鉱遺産は、19世紀後半から20世紀初頭にかけてオランダ植民地政府によって運営された、高品質な石炭を作り出すための施設だった場所。ここは現地で暮らすミナンカバウの人々を中心に中国人やジャワ人などの労働者、受刑者が働き、この地で採掘・加工して輸送するという一体となったシステムが構築されました。これらは現地の人々の知識とヨーロッパの技術の交流と融合によって形成されたもの。

ここではサワリントのオンビリン炭鉱遺産がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、オンビリン炭鉱について詳しくなること間違いなし!

目次

サワリントのオンビリン炭鉱遺産とは?

サワリントのオンビリン炭鉱遺産
画像素材:shutterstock

スマトラ島の西岸部にある西スマトラ州にある町・サワリントには、石炭を抽出するためにヨーロッパのエンジニアによって構築され、地域の環境に関する知恵を入れつつ、伝統的な労働組織によって運営されていた炭鉱がありました。ここは19世紀後半にオランダ植民地政府によって開発され、ヨーロッパ人を中心に産業化が進みつつも、労働力は地元のミナンカバウ人を中心に、中国人やジャワ人などの契約労働者、さらにオランダの受刑者などが働いていました。

ここはスマトラ島でも山々に囲まれた地で、豊富な石炭が埋没しており、採掘場や鉱山町、合計で155kmもの険しい山岳地帯と海岸の港を結ぶ鉄道橋やトンネル、ヨーロッパへと輸送するために設立されたエマヘブンの港の石炭倉庫など12もの構成遺産が登録。これらは採掘から製造、輸送、出荷までが一体化しているというのが特徴で、効率的に採掘し、船積みできるという先駆的なシステムでした。

サワリントのオンビリン炭鉱遺産はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

サワリントのオンビリン炭鉱遺産
画像素材:shutterstock

オンビリン炭鉱が評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
オンビリン炭鉱は、19世紀後半から20世紀初頭にかけてヨーロッパと植民地間の採掘技術の交換を示すもので、ここは採掘、処理、輸送、出荷までのフローに至るまで設計された完全なシステムでした。ここは熱帯環境の中で地元の知識と伝統による慣習をもとに、オランダ植民政府による鉱業の推進のための鉱山工学と鉱業の発展を示すものであったという点。

登録基準(iv)
オンビリン炭鉱は、意図的に天然資源を効率的で最大化できるように採掘できるという技術が見られ、ここは19世紀後半から20世紀初頭にかけて、工学技術と生産システムにより産業と商業のグローバル化した時期における経済の貢献を示しているもの。登録された施設は坑道、鉱石の洗浄と選別するための施設、蒸気機関、ラック式鉄道、鉄道橋、トンネル、港、石炭倉庫などが含まれていて、さらには住宅、食堂、健康施設、娯楽施設など7000人以上の住民に合わせて計画された近代的な鉱山町であるということ。

世界遺産マニアの結論と感想

オンビリン炭鉱は、世界的に産業と商業が発展した時代に大いに発展した施設で、ここは熱帯環境に生きる地元の人々の知識や慣習に、ヨーロッパ最先端の工学知識を組み込み、戦略的に天然資源を最大化にできるように設計された近代的な鉱山町であるという点で評価されています。

ちなみに、ミナンカバウ人の料理は、一般的にパダン料理と呼ばれ、インドネシアではどこでも食べられるような代表的な料理です。パダン料理は、小皿がたくさん並ぶもので、有名なのはスパイシーなお肉のカレーであるルンダン。日本のインドネシア料理店でも割とよく見られますね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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