スロヴェニアの世界遺産「シュコツィアン洞窟群」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分自然遺産
登録基準(7), (8)
登録年1986年

スロヴェニア南西部・クラス地方に位置するシュコツィアン洞窟軍は、合計で20kmも続く巨大な洞窟です。最も有名なのは、深さ200m以上、長さ約6kmの地下川洞窟。このエリアは「カルスト」という名称の語源となるほど、見事なカルスト地形で世界で最も知られる場所です。

ここでは、シュコツィアン洞窟群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、シュコツィアン洞窟群について詳しくなること間違いなし!

目次

シュコツィアン洞窟群とは?

画像素材:shutterstock

スロベニア南西部のクラス高原の地下にある洞窟群。周囲を流れるレカ川は、シュコツィアン洞窟から地下に流れ始め、地表に戻るとやがてアドリア海に流れ着く大きな川です。レカ川の侵食によってドリーネと呼ばれる大きな空洞が発生し、周囲の石灰岩の岩盤が地形を変え、世界最大の地下河川峡谷を作り上げました。高さ150m、幅120m以上の大きな地下川が流れるダイナミックな風景はシュコツィアンならでは。

このように水の侵食にとって、地下の空間が崩壊し、地表にまで届くようになるというのはカルスト地形の典型的な例となっています。この「カルスト」という用語は、この地方に起源があるのは、このような地形が多いというのが理由。

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地下には独特な世界が広がっていて、鍾乳石が作り出す不思議な風景はまるで人工の建造物のよう。例えば「ルドルフ大聖堂」や「パイプオルガン」など、洞窟内の印象的な風景にはこのようなユニークな名前を付けられています。さらに、ドラゴンズベビーと呼ばれ、までる竜のように見える「ホライモリ」も生息していて、なんと何も食べなくても一年は生息できるという不思議な両生類。他にも絶滅危惧種も多く生息しています。

シュコツィアン洞窟群のある地域は、先史時代から人々が住んでいた足跡があり、埋葬地や儀式を行ったと考えられる場所も発見されています。この地底深く続く空洞は、重要な巡礼地であると考えられていました。それほどに神々しい風景が広がっていたのでしょう。

シュコツィアン洞窟群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

画像素材:shutterstock

シュコツィアン洞窟群が評価されたのが、以下の点。

登録基準(vii)
洞窟とその周辺は、広大なカルスト地形が広がっており、地下では鍾乳石が織りなす芸術的な景観が見られるということ。

登録基準(viii)
ここはカルスト地形の典型的な例であり、「カルスト」という基本的な用語が由来する場所であるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

「カルスト」という言葉の発祥地だけあって、周囲は「ザ・カルスト地形」という地形が残っています。さらに、世界最大の地下河川峡谷があることから、カルスト地形の中でもかなりレアな風景が見られるという点も評価。

とはいえ、観光客が多く訪れるのは、北西へ約30kmの位置にあるポストイナ鍾乳洞。こちらは世界遺産に登録されていないのですが、19世紀ころから洞窟内部に鉄道が敷かれるほどの有名な観光地であり、歴史が深いのです。しかも、鍾乳石もたくさんあってどれも可愛い…しかも、ホライモリはこちらでも見られるということで、ポストイナで満足する人も多いのは事実。

しかし、ポストイナがおのぼりさん専用なら、シュコツィアンは通が好む本格派で、世界遺産ファンならシュコツィアンでしょ!と個人的に思います。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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