登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (4) |
登録年 | 1988年(2017年拡張) |
フランス北東部にあり、ドイツ国教沿いにあるストラスブールは、イル川沿いに築かれた都市。「グラン・ディル」とは旧市街一帯を示します。旧市街は、ゴシック様式とロマネスク様式が見られるノートルダム大聖堂がシンボル。他にも16〜17世紀の町並みを残すプティット・フランスにはハーフティンバー様式のドイツ風の家々が並んでいます。
ここではストラスブールのグラン・ディルとノイシュタットがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ストラスブールについて詳しくなること間違いなし!
ストラスブールのグラン・ディルとノイシュタットとは?
フランス北東部のバ=ラン県の県庁所在地であるストラスブールは、ドイツ語に近いアルザス語で「街道の街」という意味。ここは紀元前1世紀にライン川の支流であるイル川の中洲に築かれた、ローマ帝国軍の駐屯地が起源。ストラスブールは古くから交通の要衝でもあり、交易都市として発展したため、ドイツとフランスが競ってこの都市の支配権も奪い合い、長年ドイツの支配下にあった時代もありましたが、第二次世界大戦後はずっとフランスに属しています。
グラン・ディルとは「大きな島」というような意味で、イル川の中洲全体が、このように呼ばれています。旧市街は中世に築かれたノートルダム大聖堂がシンボル的存在で、ドイツ風の家々が並ぶプティット・フランスというエリアもあります。2017年にはグラン・ディルの東岸に広がる新市街・ノイシュタットも世界遺産に拡張登録されました。
登録されている主な構成資産
ノートルダム大聖堂
グラン・ディルの東側に位置するノートルダム大聖堂は、砂岩の外壁が特徴で、現在の大聖堂は12〜15世紀にゴシック様式として建造されたものですが、かつてはここにロマネスク様式の聖堂があったことから、その時代のものの一部が今でも見られます。内部には、18世紀建造の天文時計がありますが、なんと14世紀には既に天文時計が存在したということでも有名。
プティット・フランス
プティット・フランスとは、旧市街の西側のイル川が入り組んだエリアに広がる古い町並みを指すもの。ここは16〜17世紀の町並みを今も残しています。ハーフティンバー様式という、柱や梁が外壁に露出したという建築様式の家々が並び、ドイツ風の家屋が見られるのも特徴。
ストラスブールのグラン・ディルとノイシュタットはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ストラスブールが評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
グラン・ディルはストラスブールがフランスとドイツの両方の影響を受けた建築物が並び、ここは中世のゴシック様式と東方のロマネスク様式が混在した大聖堂、そして、ノイシュタットはパリの都市計画を用いて築かれた近代都市であり、さまざまな文化が混在した都市であるという点。
登録基準(iv)
グラン・ディルとノイシュタットは、ラインラント(ドイツ西部のライン川沿いに広がるエリア)の典型的な都市の例で、旧市街はルネサンス様式の家々やゴシック様式の大聖堂などが見られ、パリ風の宮殿であるロアン宮、19世紀の近代的な都市計画であったノイシュタットなどが見られます。町は神聖ローマ帝国の自由都市からフランスの自由都市となったこともあり、ここは政治や社会、文化の変化の歴史も見られるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
ストラスブールのグラン・ディルとノイシュタットは、現在はフランス領であるものの、ドイツとフランスの2つの国の影響を受けたています。ここはローマ時代から起源を持つ歴史的な都市で、旧市街から新市街まで政治や社会、文化の歴史が見られるという点で評価されています。
ちなみに、ストラスブールといえばヨーロッパ最大級のクリスマスマーケットが開かれることで有名で、その歴史はなんと16世紀に遡り、世界最古のクリスマスマーケットとされています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。