登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (7),(8),(9),(10) |
登録年 | 2003年 |
三江併流は、中国南西部の山岳地帯には、金沙江(長江の上流)、瀾滄江(メコン川の上流)、怒江(サルウィン川の上流)の3つの大河が約170kmもの間に並行して流れるエリア。ここは中国全土の25%にも及ぶ種類の動物が生息し、多様な生態系が見られます。
ここでは雲南の三江併流保護区がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、三江併流について詳しくなること間違いなし!
雲南の三江併流保護区とは?
雲南省北西部の三江併流(さんこうへいりゅう)は、デチェン蔵族自治州と怒江リス族自治州に広がっています。ここは平均標高4500mを越えるチベット高原を源流とした、金沙江(きんさこう、長江の上流)、瀾滄江(らんそうこう、メコン川の上流)、怒江(どこう、サルウィン川の上流)の3つの大河が約170kmも並行して流れる場所。標高6000mを越えるヒマラヤ山脈の東端に位置し、ここは約5000万年前に、ユーラシア大陸とインド亜大陸が衝突して生まれ、場所によっては標高3000mもの険しい峡谷が見られます。
保護区は15のエリアに分かれ、森林や雪山、氷河、カルスト地形、砂岩、湖、草原など、多様な景観が見られます。ここは700種類以上の動物、約6000種の植物が見られ、これは中国全土の25%にも及ぶほどで、中国でも最も多様な生態系が見られます。特にこの地の固有種である「ウンナンシシバナザル」も見られることで有名。
雲南の三江併流保護区はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
三江併流が評価されたのが、以下の点。
登録基準(vii)
三江併流保護区は、金沙江、瀾滄江、怒江の3つの川は高山に囲まれていて、氷河に覆われた梅里雪山(標高6740m)や白馬雪山(標高5429m)が見られ、ここから氷河が標高2700mまで下降するというほど。他にもカルスト地形や丹霞地形(赤い堆積岩が隆起したもの)が見られるという点。
登録基準(viii)
三江併流は、5000万年前にユーラシア大陸のプレートとインド亜大陸のプレートが衝突し、ヒマラヤ山脈の隆起に関連する地質学の歴史が見られ、これらはアジア大陸の地形の変化にまつわるもので、現在も進行しています。ここには多様な岩石の種類が存在し、高山のカルストや花崗岩のモノリス、丹霞地形などの景観が見られるということ。
登録基準(ix)
平行する3つの河川は地質学や地形、気候の影響が見られるもので、この地形では火成岩から石灰岩、砂岩、礫岩を含めてさまざま岩盤の基盤が形成され、氷河で覆われた山頂や峡谷、カルストなど、地形プレートの衝突の証拠が見られるもの。ここは高山地帯の多様性に加え、モンスーンによって生物に影響が与えられ、旧北区(生物地理区の一つ)の生態系が進化するの基盤が存在し、貴重な生物の保護区でもあるという点。
登録基準(x)
三江併流を含む雲南省の北西部は、中国で最も生物多様性が見られる場所の一つであるほどに世界的にも貴重な場所であり、ここは東アジア、東南アジア、チベット高原が交わる地で、植物と動物が移動するための「回廊」としても機能していて、希少な絶滅危惧種が保護されているということ。
世界遺産マニアの結論と感想
三江併流保護区は、ユーラシア大陸とインド亜大陸のプレートが5000年前に衝突したことで形成され、その地形の進化が見られるという点で貴重なもの。基盤の中にさまざまな岩石の種類が存在し、モンスーンによって影響されつつ、独自の生態系の進化が見られ、ここには大陸各地から動物が移動するために絶滅危惧種が多く保護されているという点で評価されています。
ちなみに、この地にはシャングリラ市(香格里拉市)という名前の行政区が存在しますが、もともとはシャングリラとは「理想郷」という意味で、『失われた地平線』という英国小説に登場した架空の地名。かつては「中甸県」と呼ばれる地でしたが、2002年に観光誘致のために「シャングリラ県」と改名され、2014年からはシャングリラ市になったという経緯があります。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。