登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (7), (9) |
登録年 | 2013年 |
中国北西部の新疆ウイグル自治区にある、世界最大の山脈の一つ天山山脈の一部が世界遺産に登録。最高峰のトムール山(標高7439m)の他に、美しい景観として有名な天池があるボゴダなど、雪や氷河に覆われた山々や森林や草原、湖、渓谷など、多彩な自然が残るというのが特徴です。
ここでは新疆天山がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、新疆天山について詳しくなること間違いなし!
新疆天山とは?
中国の新疆ウイグル自治区とカザフスタン、キルギスとの国境沿いに位置する天山山脈。最高峰のトムール山(ポベーダ山、標高7439m)、自然保護区のカラジュン=クエルデニン、草原地帯であるバインブルク、標高は5445mのボグダ山を中心としたボグダと、4つの構成遺産で構成されています。ここは中央アジアの砂漠に囲まれた温帯乾燥地帯にあるという緑の景観で、そのコントラストがまたユニーク。
合計6000平方kmを超える広大なエリアは、雪や氷河に囲まれた山岳地帯で、美しい湿地や草原、赤い峡谷など、手付かずの自然が残る地です。そして、ここは鮮新世(約500〜258万年前)に形成された地形や生態系が残り、進化の過程を示す証拠としても貴重。そして、動植物も絶滅危惧種や固有種が見られます。
登録されている主な構成遺産
トムール(ポベーダ山)
キルギスとの国境ともなっている、標高7439mの天山山脈の最高峰。トムールはウイグル語で「鉄」を意味するもので、ポベーダは「勝利」を表し、第2次世界大戦時にソビエト連邦によって改名されたもの。1946年の測量によって最高峰であると判明した、意外と最近「最高峰」となった山です。
ボグダ
自治区の首府であるウルムチから東へ約60kmに位置する山。ボグダ山の標高は5445mの高知であるにもかかわらず、緑広がる美しい景観が広がり、標高1907mにある氷河湖・天池が有名です。ここは古代の仙女・西王母の伝説とも結びついていて、その伝説を彷彿とさせるほどに神秘的。
新疆天山はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
新疆天山が評価されたのが、以下の点。
登録基準(vii)
東西1760kmに渡って、トムールやボグダなどの高山が連なるという世界でも最大級の山脈であり、砂漠に囲まれた地であるにもかかわらず、雪や氷河に覆われた山々や森林や草原、湖、渓谷など、並外れた美しさが存在するという点。
登録基準(ix)
新疆天山は砂漠の間に位置し、乾燥した大陸性気候のため、鮮新世以降、地形と生態系はそのまま保存され、気候変動の中での山岳生態系の進化が見られます。そして、絶滅危惧種や固有種が多く生息する場所であるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
新疆天山は、世界でも最大級の山脈であり、砂漠に囲まれているため、大陸性気候の地形と生態系がそのまま保存されているという点で評価されています。山岳の生態系の進化が見られるという貴重なエリアでもあるという点もポイント。
ちなみに、1946年までは、新疆ウイグル自治区とカザフスタン、キルギスの国境にあるハン・テングリ(標高7010m)が天山山脈最高峰だったと思われていたのですが、現在では第2位になっています。ちなみに、ウイグルで「天の王」という、いかにもそれっぽい名付けられただけに、2位かよ…という気持ちになってしまう可哀想な山。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。