バングラデシュの世界遺産「パハルプールの仏教寺院遺跡群」とは?世界遺産マニアが解説

  • URLをコピーしました!
登録区分文化遺産
登録基準(1),(2),(6)
登録年1985年

バングラデシュ北西部にあるバハルプールは、インド東部でも最大の仏教寺院の遺跡。パーラ朝(750〜1174年)の時代にソーマプラ大僧院には多くの僧侶が集まり、この地で発展した豊富な彫刻装飾は遠くカンボジアの仏教建築にも影響を与えたもの。

ここではパハルプールの仏教寺院遺跡群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、パハルプールの仏教寺院遺跡群について詳しくなること間違いなし!

目次

パハルプールの仏教寺院遺跡群とは?

パハルプールの仏教寺院遺跡群
画像素材:shutterstock

バングラデシュ北西部にあるラジシャヒ管区ナウガウン県にあるパハルプールには、大乗仏教の精舎であるソーマプラ大僧院があります。ここは8〜9世紀にパーラ朝の国王ダルマパーラ(在位780〜810年)によって築かれた僧院。一辺約320mの正方形の敷地の中央に大祠堂がそびえるという構造で、三段の大祠堂は十字形の建造物です。

大祠堂は基壇部分しか現存していませんが、外周の壁には60ものヒンドゥー教の神々が刻まれ、粘土を素焼きにした塑像が加えられた2800もの板が配置されているのが特徴です。これらは保存状態も良好。外周壁に沿って177もの僧房があったとされ、最盛期はアジア各地から訪れた1000人もの僧侶たちがここで学んでいたとされています。

現在はブッダガヤ大菩提寺やナーランダ僧院と並ぶ、インド亜大陸東部最大の仏教遺跡となっていて、ここで発展した仏教建築はカンボジアのアンコール遺跡などにも影響を与えました。

パハルプールの仏教寺院遺跡群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

パハルプールの仏教寺院遺跡群
画像素材:shutterstock

パハルプールの仏教寺院遺跡群が評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
パハルプールの仏教寺院遺跡群は、中央の大祠堂が中心となった釣り合いのとれた設計となっていて、粘土による塑像が施された装飾は、この地方独自の傑作であるという点。

登録基準(ii)
パハルプールで発展した建築様式は、ミャンマーのパガン遺跡やインドネシアのプランバナン寺院群に影響を与え、カンボジアの仏教建築にも影響を与え続けました。そして、ここで磨かれた粘土による工芸に関しては8世紀以降も周囲に存続しているということ。

登録基準(vi)
ソーマプラ大僧院は、7世紀以降のベンガル地方における大乗仏教の普及を示していて、パーラ朝の保護の下で仏教の中心地となり、17世紀まで巡礼者が途絶えなかったという点。

世界遺産マニアの結論と感想

バハルプールは、パーラ朝における仏教の聖地で、ソーマプラ大僧院などは多くの僧侶が学ぶという地でもあり、ここで確立された仏教建築は遠く東南アジアの仏教建築に大きく影響を与えているという点で評価されています。

ちなみに、中央の十字形の祠堂はかつて尖塔が存在していたとされていますが、今でも小高い丘になっています。思わず登りたくなりますが、遺跡の保護のために頭頂は禁止されているので要注意。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

目次