なぜ「天橋立」は世界遺産でないのか?世界遺産マニアがそのあたりの事情を解説

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天橋立(あまのはしだて)は、有数の観光地で世界遺産に登録されていると思いきや…実は世界遺産じゃないんです。これだけ有名な観光地なのになぜ?

ここでは天橋立が、なぜ世界遺産でないのか?世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、天橋立について詳しくなること間違なし!

目次

天橋立とは?

天橋立
画像素材:shutterstock

「海の京都」と呼ばれるエリア、京都府宮津市にある日本三景の一つ。ここは若狭湾の西端部「宮津湾」と内海である「阿蘇海」を南北に隔てる全長3.6kmの湾口砂州があり、これが橋のように見えることから「天橋立」と呼ばれます。天橋立の形成は諸説あるものの、一般的には海面が徐々に上昇し、約2200年前に発生した地震によって土砂が湾に流入して、海面上に現れたというのが通説。

ここが名勝地として知られるようになったのは8世紀ころからとされ、天橋立の北部にある「成相寺(なりあいじ)」が開山してから。平安時代から江戸時代まで多くの詩に詠まれていて、17世紀に薬学者であり、紀行文などを執筆した貝原益軒(かいばらえきけん)によって「日本三景」の一つとされ、それが現在でも引き続きキャッチコピーになっています。明治以降は展望台が増えていき、現在は天橋立傘松公園の展望台から「股のぞき」をしながら眺める人が多いことで有名。

天橋立はなぜ世界遺産として登録されないの?

天橋立
画像素材:shutterstock

天橋立は観光客には人気のあるスポットではありますが、世界遺産としては登録されていません。これはなぜでしょうか?

実は世界遺産に登録させるには、世界遺産条約の締約国の政府が世界遺産センター(世界遺産委員会事務局)の協力を受けながら世界遺産候補である「暫定リスト」を作成する必要があるのです。つまり、暫定リストに掲載されていない遺産は、世界遺産に推薦することはできません。

そして、現在の日本の暫定リストには天橋立橋が記載されていないため…残念ながら世界遺産になる可能性は今のところ0%です。とはいえ、京都府、宮津市、伊根町、与謝野町では「天橋立―日本の文化景観の原点」として登録へ向けて活動が行われ、2007年には暫定リストの候補として提案するも、2008年ではリストに選ばれませんでした。しかし、現在も活動が続けられていて、「天橋立を世界遺産にする会」はイベントやシンポジウムなどを開催しつつ、暫定リストへの掲載を目指していてます。

世界遺産マニアの結論と感想

残念ながら天橋立は世界遺産ではありませんが…しかし、それはあくまでも現段階の話。宮津市によると、現在は天橋立の価値を再度調査しつつ、再びチャレンジする意向であると発表しています。実は世界的にも天橋立のような砂州は割と多く、世界遺産にリトアニアとロシアにまたがる「クルシュー砂州」は長さ98kmにも及ぶほど。「内外に比類のない白砂青松」ということをどのように示していくかというのが今後の課題となっています。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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