イタリアの世界遺産候補「チヴィタ・ディ・バーニョレージョの文化的景観」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分(暫定リストに記載)文化遺産
登録基準(暫定リストに記載)(3), (5)
申請年(暫定リストに記載)2017年

イタリア中部のチヴィタ・ディ・バーニョレージョは「死にゆく町」とも呼ばれ、長年に渡って台地が地すべりで町が削られていくという悲しい運命を持つ町。しかし、ここは人類が科学技術を発展させながら暮らし続けてきたという文化的景観が見られる場所でもあるのです。

ここではチヴィタ・ディ・バーニョレージョの文化的景観が、なぜ世界遺産候補なのか?世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、チヴィタ・ディ・バーニョレージョについて詳しくなること間違いなし!

目次

チヴィタ・ディ・バーニョレージョの文化的景観とは?

画像素材:shutterstock

チヴィタ・ディ・バーニョレージョは、イタリア中部ラツィオ州ヴィテルボ県に属するバニョレージョに属している小さな集落。孤立した崖の上に集落があるという独特の景観を持ち、ここを訪れるには300mほど続く橋を利用することでしか訪れることができません。

ここは火山の境界過去の地震や火山活動とよって形成され、もともとは平原だったものの、メサ(急斜面で頂上がなだらかというテーブル状の地形)やビュート(侵食によって形成された孤立丘)などが続く地となり、人々は古くからその地形を利用して暮らしてきました。チヴィタ・ディ・バーニョレージョは巨大な凝灰岩の崖の上に位置していて、中世の町並みがそのまま保存されていることから、自然の地形を利用した文化的景観でもあります。

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集落にはかつての先住民であるエトルリア人などが紀元前7世紀ころから住み始め、ローマから中世にかけて拡大し、当時の区画が現在の都市の原型となりました。ここは少なくとも14世紀以降、歴史書や地図によると、雨風などによって地すべりが多く発生し、徐々に丘の周囲が崖のように削られていきました。その度に再建を繰り返しながら、絶えず町の景観が変化していったというのが特徴。

しかし、18世紀に発生した土砂崩れにより、集落の丘と対岸の丘を結んでいた橋のような地形は失われ、ほとんどの住民は他の場所へと避難。現在の村は住民がほとんどしかいないものの、5世紀に起源があるサン・ドナード教会やルネサンス様式の館など、歴史的建築物が多く残っています。現在は1965年に鉄筋コンクリートの橋が架けられたということもあり、夏の人口は100人を超え、「イタリアの最も美しい村」にも加盟するほどの観光地ともなりました。

チヴィタ・ディ・バーニョレージョの文化的景観はどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?

画像素材:shutterstock

イタリア政府が提出した暫定リストに記載されている登録基準としては、以下の点。
※これらは2017年に暫定リストに記載された、イタリアにおける基準です。

登録基準(iii)
チヴィタ・ディ・バーニョレージョは、常に変化し続ける丘の上で人間が長期間暮らしてきたという証明でもあり、1000年以上に渡って地滑りに対する科学技術の発見に貢献していて、丘の崩壊のスピードは、土地の圧密に関する新たなる技術の導入とその有効性のケーススタディでもありました。特に圧密に対する科学技術で貢献していて、1950年代後半には最初の電気浸透による圧密が行われり、丘の崖には構造的なシャフトが設置されたりしたという点。

登録基準(v)
チヴィタ・ディ・バーニョレージョの文化的景観は、伝統的な人間の居住と土地利用の顕著な例であり、急速に変化する地形に対する人類の戦いを示しています。14世紀に遡る資料によると、ここは地すべりを避けるために木の伐採を禁止していたりと、台地の侵食を抑制するための人間の活動は現在も続いているというのが特徴。特に頂上の部分の都市計画は、18〜19世紀には段階的に進む地すべりを制御していたという点も含まれているということ。

世界遺産マニアの結論と感想

チヴィタ・ディ・バーニョレージョは、侵食によって滅びゆく丘を人間が知恵を絞りながら暮らしてきたという都市計画が見られ、それを防ぐために圧密に対しては技術革新が多く行われてきた地でもあり、科学技術の発展へと繋がっていったという点で評価されています。

ちなみに、しばしばネットの記事では、チヴィタ・ディ・バーニョレージョは『天空の城ラピュタ』のモデルと記載はありますが、これはスタジオジブリの公式HPでも特に記載がないので、おそらくは…旅行者の間でのガセネタの可能性が高いかと思われます。むしろ公式HPでラピュタの「大いに参考にした場所」はイギリスのウェールズなので、監督のイメージとも違うのかも?

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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