グアテマラの世界遺産「ティカル国立公園(遺跡)」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分複合遺産
登録基準(1), (3), (4), (9), (10)
登録年:1979年1979年

グアテマラ北部にあるジャングルの中には、マヤ文明の主要な神殿都市であった「ティカル」がありました。ここは紀元前8世紀から10世紀まで人々が住み続け、ピラミッド型の神殿や宮殿などが残っています。周辺の森にはホエザルやクモザルなど貴重な動物も生息していることから、複合遺産として登録。

ここでは、ティカル国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ティカル国立公園について詳しくなること間違いなし!

目次

ティカル国立公園(遺跡)とは?

ティカル国立公園
画像素材:shutterstock

メキシコとベリーズとの国境近く、グアテマラ北部のペテン州にある広大なジャングルにある国立公園。576平方kmの広さを誇り、マヤ文明の考古学遺跡だけでなく、多様な生物が見られるという点でも評価され、複合遺産となっています。

マヤ文明は紀元前6世紀から9世紀まで栄えた文明で、登録されたエリアにはマヤ時代の神殿や宮殿跡などが多く残存。自然遺産としては、ジャガーやピューマなどが生息していて、300種以上の鳥類が住んでいます。

最大で6万人も住んだとされるこの遺跡は、かつてこの都市が、政治、経済、軍事の中心地であったことが分かりす。遺跡内にはピラミッド型の神殿、宮殿、邸宅、球技場など、建築物の集合体であるアクロポリスが3つあり、中央のアクロポリスには42棟の建築物が残存。ここが当時の支配者の邸宅であったと考えられています。神殿型ピラミッドは2つ向き合うように建設され、祭礼空間であると考えられており、これはコンプレックスと呼ばれるもの。

ティカル国立公園
画像素材:shutterstock

この地に人々が住み始めたのは、紀元前9世紀頃。1世紀には、現在のような区画となり、ピラミッド神殿などが作られ始めたと考えられています。最も古い石碑29は紀元前292年に刻まれたもの。4世紀にはテオティワカン(現在のメキシコ・シティ周辺にあった国家)によって征服され、その後、周辺の都市によって支配されたこともありましたが、7世紀ころには最盛期を迎えます。

しかし、9世紀になるとマヤ文明は衰退し、869年に刻まれた石碑11以降は記録がありません。他の都市同様に原因は不明のままです。

遺跡内には溜池があり、これは周辺には大きな川がなかったため、ここに住む人々は生活用水は雨水を利用していたということが分かります。そもそも「ティカル」はユカテコ語から由来する「水たまり」という意味。これは19世紀に遺跡が発見された時に名付けられらもの。ティカルはマヤの他の都市との交流も見られ、メキシコのテオティワカンやカラクムル、ホンジュラスのコパンとも交易を行っていました。

登録されている主な構成資産

1号神殿

1号神殿/ティカル国立公園
画像素材:shutterstock

8世紀ころに建造されたと考えられる神殿。第26代ア・カカウ王(ハサウ・チャン・カウィール)の墓や埋葬品が発見されています。頂上に刻まれたジャガーの姿から「ジャガー神殿」とも。

2号神殿

2号神殿/ティカル国立公園
画像素材:shutterstock

1号神殿の向かいに立つ神殿で、屋根飾りのレリーフがあることから「仮面の神殿」とも呼ばれています。これもア・カカウ王によって建造されたとされるもの。

4号神殿

4号神殿/ティカル国立公園
画像素材:shutterstock

8世紀ころ、第27代イキン・チャン・カウィールによって建造されたピラミッド型の神殿。4号神殿は高さ65mと遺跡でも最大の高さを誇ります。

5号神殿

5号神殿/ティカル国立公園
画像素材:shutterstock

5号神殿の高さは57mで、1号神殿などがあるアクロポリスから南に位置します。おそらく8世紀に建てられたもの。天井の厚さはなんと5mにも及びます。

ティカル国立公園はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ティカル国立公園
画像素材:shutterstock

ティカル国立公園が評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
マヤ文明の芸術が見られる建築物群は、人類の才能が発揮されていたということ。

登録基準(iii)
最も古い石碑29は紀元前292年に刻まれたものであり、最後に刻まれた石碑11は869年であったことから、少なくともここでは33人の支配者が治めた土地であったと記録されている点。

登録基準(iv)
神殿など、宗教儀式に関連する建築物などが多く建設され、マヤの建築技術が発展していく過程が見られるということ。

登録基準(ix)
公園内には、ジャングルや湿地帯、サバンナなどさまざまな地形が残っており、多様な動植物が生息しているという点。

登録基準(x)
200種の樹木を含む2000種以上の植物、 100種以上の哺乳類などが生息しており、その中には絶滅の危機に瀕している動物もいるということ。

世界遺産マニアの結論と感想

マヤ関連の遺跡は、大都市のものはほとんど世界遺産に登録されていますが、貴重な動植物も多いということで複合遺産になっており、似たような遺産だとメキシコのカラクルムくらい。神殿が残っている遺跡はあるものの、ここは特に碑文が多く残っていてきちんと年代が分かるのも評価のポイント。そして、大型のピラミッド型神殿も多く残っているのも強み。

ティカルはまさに「ジャングルの中で遺跡が佇む」というの異世界感溢れる風景ですよね。ちなみに、『スター・ウォーズ』の1作目のロケ地として使われたことも。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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