スペインの世界遺産「マドリードのエル・エスコリアルの修道院と王室用地」とは?宮殿を含めて世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1),(2),(6)
登録年1984年

スペインの首都マドリードから北西へ約45km。ここには国王フェリペ2世が、16世紀に聖人ラウレンティウスゆかりの格子型の宮殿兼修道院を建設。この独特の建築様式はその後のスペイン建築に大きな影響を与えました。

ここではマドリードのエル・エスコリアルの修道院と王室用地がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、エル・エスコリアルの修道院について詳しくなること間違いなし!

目次

マドリードのエル・エスコリアルの修道院と王室用地とは?ここが宮殿だった?

マドリードのエル・エスコリアルの修道院と王室用地
画像素材:shutterstock

マドリッドの郊外に位置するエル・エスコリアルの修道院は、グアダラーマ山脈の麓に位置する宮殿、神学校、図書館などがある複合施設。スペイン最盛期の王であったフェリペ2世が、1563〜1584年にかけて王宮と修道院を兼ねて建造しました。

デザインとしては、キリスト教の聖人である聖ラウレンティウスが鉄格子で火炙りにされたことから、鉄格子型の平面を使用した設計に。これは聖ラウレンティウスが殉教したとされる8月10日にフランスとの戦いに勝利したことを記念し、戦死者を追悼するものでもありました。外観は左右対称で装飾を排除するという「エレラ様式」が採用されているものの、内観はそれに対して豪華絢爛な装飾が施されています。

マドリードのエル・エスコリアルの修道院と王室用地
画像素材:shutterstock

ここは王宮でもあり、修道院でもあったことから広大な敷地を誇り、庭園、神学校、図書館、交易所などを含めて壮大な建造物でした。そして、スペイン王家の埋葬場所でもあり、歴代の国王の霊廟もあります。図書館はスペインの黄金時代の15〜18世紀の書類を保管していることでも貴重。そして、スペインの黄金時代に建造されただけあって、スペインを代表する画家であるエル・グレコなどの傑作も多く並びます。

ここは王家の夏の避暑地として使用され、宮廷には多くの芸術家が集まりました。18世紀には新しい交易所が完成すると、修道院の周囲には街が広がるように。ここはスペインの「カトリック君主」としての権威を象徴する建築物でありました。

マドリードのエル・エスコリアルの修道院と王室用地はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

マドリードのエル・エスコリアルの修道院と王室用地
画像素材:shutterstock

エル・エスコリアルの修道院が評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
エル・エスコリアルの修道院は、フェリペ2世によって集められた芸術家たちの作品の集合体であるということ。

登録基準(ii)
エル・エスコリアルの修道院は、フェリペ2世というヨーロッパのキリスト教専制君主によって建造されたことから、スペインの黄金時代の建築や芸術、デザインの発展に影響を与えたものであるという点。

登録基準(vi)
エル・エスコリアルの修道院は、スペイン王室の埋葬地でもあり、フェリペ2世の父であったカルロス1世(神聖ローマ皇帝カール5世)からのアルフォンソ13世までの子孫がすべて眠っていて、ここはヨーロッパと世界の歴史にまつわる人物が多く関係しているということ。

世界遺産マニアの結論と感想

「太陽の沈まない国」と呼ばれた時代のスペイン王であったフェリペ2世によって築かれただけあって、この王宮兼修道院は、スペインの建築や芸術、デザインにまで影響を与えたという点で評価されています。そして、ここは王家の埋葬地だけあって、有名なスペイン王が多く埋葬されているというのもポイント。

ちなみに、フェリペ2世はかなり合理的な人物で、領土の各地に副王を配置して、中央集権体制を整えた王でした。しかし、その影響で書類に目を通す機会が多くなり、あまりにも忙しかったのか「書類王」と呼ばれるほど、宮殿にこもりがちだったそう。それもあり、エル・エスコリアルの修道院は、王宮と霊廟、図書館なども兼ねていて、多忙なフェリペ2世にとっては都合の良い建築物だったのかもしれませんね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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