登録区分 | 文化遺産 危機遺産2023年〜 |
登録基準 | (3), (4) |
登録年 | 2023年 |
首都サナアの東約120kmの位置にあるマアリブは、サバア王国(紀元前800年頃〜紀元前275年)の首都だった場所で現在は遺跡となっています。ここは東アフリカや地中海、アラビア半島などとの交易で栄え、アラビア半島南部において、灌漑や農業技術で優れた最大規模のオアシスでした。
ここではマアリブの古代サバア王国記念建造物群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、マアリブについて詳しくなること間違いなし!
マアリブの古代サバア王国記念建造物群とは?
マアリブは、アラビア半島南部で繁栄したサバア王国の首都であった場所。サバア王国は地中海や東アフリカとの交易によって繁栄し、幅広い交易ネットワークを持ち、アラビア半島では乳香の交易ルートを支配していました。マアリブは半乾燥地帯に位置し、宮殿を含む市街地(現在の旧市街)があり、周囲は巨大なダムが建造され、そのダムによって肥沃な農地となりました。しかし、マアリブの旧市街は20世紀に放棄され、現在は北に位置する新市街に人々は暮らしています。
世界遺産としては、旧市街に残るサナア王国時代の宮殿や神殿、その都市を囲む城壁だけでなく、周囲のダムの跡などが含まれています。そして、マアリブから西へ約40kmの位置にある城壁都市シルワの遺構も含めて登録。
危機遺産(危機にさらされている遺産)
2015年からイエメンでは内戦が繰り広げられていて、マアリブは石油産出施設もあるこから、激しい戦闘が現在まで続いています。マアリブの遺跡も危機にさらされている状態であるため、2023年に緊急登録されました。
マアリブの古代サバア王国記念建造物群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
マアリブが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
登録基準(iv)
古代サバア王国の記念建造物群は、イスラム勢力がこの地を支配するまでに繁栄したサバア王国の建築や芸術、技術などを証明するもので、ここで発達した灌漑システムはアラビア半島南部でも最大規模のオアシスであり、水力学や農業の技術も反映されているという点。
世界遺産マニアの結論と感想
古代サバア王国の記念建造物というのは、海や陸との交易で繁栄したサバア王国の栄光を残すもので、かつてのオアシス跡として当時の灌漑・農業から建築技術まで見られるという点で評価されています。
ちなみに、ここは交易で繁栄したという点で、旧約聖書に登場する「シバの女王」の王国だったという説もあるものの、そもそもシバの女王が会ったとされるイスラエル王国のソロモン王は紀元前1011年〜931年頃の王様だと考えられているので、まず時代が合いません…。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。