登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1),(2),(3),(4) |
登録年 | 1987年(2004年拡大) |
インド南東部にある3つのヒンドゥー教の寺院は、南インドとセイロン島を支配した、タミル系のチョーラ朝(846年頃〜1279年)の王たちによって、11〜12世紀に建造されたもの。首都であったタンジャーヴールは、11世紀にラージャラージャ1世によって築かれた「ブリハディーシュヴァラ寺院」があり、寺院の建築技術と装飾など、南部のヒンドゥー教建築の傑作でもあります。
ここでは大チョーラ朝寺院群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、大チョーラ朝寺院群について詳しくなること間違いなし!
大チョーラ朝寺院群とは?
インド南東部に位置するタミル・ナードゥ州には、4世紀に渡って南インドだけでなく、セイロン島まで拡大し、領土内には文化や芸術が大いに発展しました。首都であったタンジャーヴールとガンガイコンダチョーラプラムという町にはそれぞれ「ブリハディーシュヴァラ寺院」と呼ばれる2つの寺院があり、2004年にはダーラーシュラムにある「アイラーヴァテーシュヴァラ寺院」も登録。これらは11〜13世紀に建造され、これらはチョーラ朝の歴史と南インドのタミルの文化を残していて、当時の建築と芸術の発展を示すもの。
ガンガイコンダチョーラプラムは、最盛期の王であったラージェーンドラ1世(1016〜1044年)が築いた新首都。ここにある「ブリハディーシュヴァラ寺院」はシヴァ神を祀っている寺院で、特に彫刻が優れたことで知られます。ダーラーシュラムは、ラージャラージャ2世(1143〜1127年)によって建造された「アイラーヴァテーシュヴァラ寺院」があり、規模は小さいものの、寺院は彫刻が多く施され、チョーラ朝芸術において傑作です。
タンジャーヴールのブリハディーシュヴァラ寺院
タンジャーヴール県の県庁所在地であるタンジャーヴールは、チョーラ朝の初期の首都であった場所。ここは王朝を拡大させたラージャラージャ1世(985年頃〜1014年)によって11世紀に設立されました。
ブリハディーシュヴァラ寺院は2つのゴープラム(塔門)を備えた外壁と内壁に囲まれています。内部には、シヴァの乗り物である乳白色の牡牛、ナンディ像を祀った祠があり、その先にあるヴィマーナと呼ばれる主聖堂は59.82mの高さを誇り、16階建ての巨大な塔でもあります。聖堂は13ものテラスを持ち、その上に八角形のシカラ(山頂)が設置されていて、これはシヴァ神が住むとされるカイラス山をイメージしているもの。
大チョーラ朝寺院群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
大チョーラ朝寺院群が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
南インドに残る3つの寺院は、純粋なドラヴィダ様式のヒンドゥー教寺院であり、創造的な表現が見られるという点。
登録基準(ii)
タンジャーヴールのブリハディーシュヴァラ寺院は、チョーラ朝の寺院建築でも優れたもので、後に築かれた2つの寺院にも引き継がれていったということ。
登録基準(iii)
3つのチョーラ朝寺院は、チョーラ朝の建築と南インドのタミルの文明の発展を示す証拠であるという点。
登録基準(iv)
大チョーラ朝寺院群は、チョーラ朝の建築と思想が見られる傑作であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
大チョーラ朝寺院群は、チョーラ朝を含む南インドのタミルの人々の文明の発展を示すもので、これらの寺院は時代が下ることに技術が積み重なり、当時の寺院建築においても非常に優れているという点で評価されています。
ちなみに、インドは多民族国家ではありますが、現在の南インドに住むのは「ドラヴィダ人」と呼ばれる人々。といっても、ドラヴィダ語のグループだけで26もの言語があるので、そのあたりはややこしいところ。そして、タミル人というのはドラヴィダ語族の中でも最大グループの一つでもあるので、ある意味、代表的なドラヴィダ系の民族といったところでしょうか。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。