登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3), (4) |
登録年 | 2000年 |
キューバの南東部に位置するマエストラ山脈の麓には19世紀にキューバで初めて開園したコーヒー農園の跡地があります。ここはハイチから移り住んだ白人たちによって築かれたコーヒー農園であったものの、20世紀には伝統的な手法となってしまい、次第に衰退しました。登録エリアは農園主の屋敷や農園跡地など、開拓時のコーヒー農園の景観が見られ、当時の先駆的な農業技術を現在に残しています。
ここではキューバ南東部のコーヒー農園発祥地の景観がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、キューバ南東部のコーヒー農園発祥地について詳しくなること間違いなし!
キューバ南東部のコーヒー農園発祥地の景観とは?
世界遺産としては、キューバ南東部のサンティアーゴ・デ・クーバ州とグァンタナモ州にまたがって存在していて、合計で814.75平方kmにも及ぶ土地にキューバ初のコーヒー農園跡が171も点在しています。キューバ島の隣のイスパニョーラ島西部のハイチが1804年に独立したために、ヨーロッパ人たちがキューバへと移り住み、彼らはマエストラ山脈の麓においてアフリカ人奴隷が働く農園を設立。当時はサトウキビが主でしたが、ヨーロッパでも需要の高まったコーヒーの生産を19世紀から20世紀初頭まで続けられたものの、ブラジルなどの新しい手法の台頭による国際競争もあり、やがてキューバのコーヒー生産は衰退。
この地では、かつての伝統的な手法によるコーヒー豆作られ、農園跡には農園主の屋敷、乾燥床、製粉と焙煎のための施設、労働者の邸宅などが見られます。フランス人によって開発されたコーヒーの加工技術による貯水池、水道橋、高架橋などの設備も残存。ここは開拓当時のコーヒー農園の姿を残す場所で、当時の農業技術を示すもの。森を開墾してコーヒーノキが育てられ、そのフランス式の農園が風景に融合しているという文化的景観が見られます。
キューバ南東部のコーヒー農園発祥地の景観はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
キューバ南東部のコーヒー農園発祥地が評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
キューバ東部の19世紀〜20世紀初頭まで繁栄したコーヒー農園跡は、世界中で衰退した原生林を開墾して形成された農業跡地が見られるという点。
登録基準(iv)
19世紀から20世紀初頭までキューバ東部において行われたコーヒー生産によって、独自の文化的景観が見られるようになり、コーヒー産業の発展における重要な段階を示すということ。
世界遺産マニアの結論と感想
非常に分かりづらい世界遺産ですが、お隣のハイチが独立すると、ヨーロッパ人によって森が開墾され、農園が築かれていくと、コーヒーの農園や関連施設が多く並ぶようになり、現在は稼働していませんが、その景観が文化遺産として評価されています。
ちなみに、この地のコーヒー豆作りはすでに衰退していますが、キューバのコーヒーのルーツである「シエラマエストラ」というコーヒー豆は現在も栽培されています。とはいえ、キューバのコーヒー豆といえば「クリスタルマウンテン」でも知られますね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。