登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (4) |
登録年 | 2023年 |
フランス南部に位置するニームは、古代ローマ時代から続く歴史を持つ町。メゾン・カレは紀元前1世紀建造の神殿であり、教会や会議場などに転用されつつも、現代まで改修されながら保存されている貴重な建造物でもあります。
ここではニームのメゾン・カレが、なぜ世界遺産なのか?世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めばメゾン・カレについて詳しくなること間違いなし!
ニームのメゾン・カレとは?
ニームはガール県の県庁所在地であり、古代ローマ時代からの歴史を誇る都市。もともとはローマ人の村にあった泉「ネマウスス」という名前が起源とされ、紀元前1世紀には既にローマ帝国の植民都市でありました。初代ローマ皇帝アウグストゥスは城壁を築き、往時は6万人もの人口を誇る都市であったとされます。また当時、町で暮らす人々のために築かれた水道橋「ポン・デュ・ガール」は保存状態が良く、ここも世界遺産に登録。
しかし、3世紀末から敗退し、5世紀には西ゴート族が占領。その後もさまざまな勢力に支配されるも、建築物は教会に転用されたりと、ローマ時代の遺構は奇跡的に残されました。
「メゾン・カレ」と呼ばれる神殿跡もその一つで、ここは紀元前1世紀ころにフォルム(公共広場)の前に築かれたもの。ここは幅13.54m、長さ26.42mの長方形の建造物で、その名もフランス語の古語「長方形」から由来しています。
4世紀にはキリスト教の教会へと転用されたため、破壊されることなく存続し、その後は会議場や馬小屋と用途を変えて修復され、何度も再利用されました。19世紀から美術館となった後は、ローマ風のポルチコや天井などが再建され、1988〜1992年の修復で屋根が加えられると、現在のようなローマ神殿のような外観となりました。
ニームのメゾン・カレどんな理由で世界遺産に登録されているの?
メゾン・カレが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iv)
ニームは、古代の建築遺産を保存していて、円形闘技場やメゾン・カレ、アウグストゥス門、マーニュ塔など、ローマ時代から残る都市として西欧ではよく保存されています。さらには住居跡やモザイク、ポン・デュ・ガールの一部の水道橋など、西ヨーロッパにおける古代文明の存在を示す遺構の一つであるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ニームは古代ローマ都市の遺構がよく残され、それらは住民たちによって改修されながら利用されていて、やがてヨーロッパや世界における芸術様式にも影響を与えたという点で評価されています。メゾン・カレもニームを代表する建造物の一つ。
ちなみに、ジーンズの生地として利用されることが多いデニムは「セルジュ・ドゥ・ニーム(ニーム産のサージ生地)」が語源とされていて、ニームは織物の産地でもあったことから、ある意味デニムの生まれ故郷とも言えるかもしれませんね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。