台湾といえば、日本からアクセスもよく、気軽に行けることから人気の観光地です。豊かな自然遺産や歴史あふれる文化遺産があることで知られるものの…世界遺産はあるでしょうか?
ここでは、台湾の世界遺産はあるのか?世界遺産マニアがそのあたりの事情を含めて分かりやすく解説していきましょう。
台湾に世界遺産は存在しない?
台湾は、日本列島と中国の間に位置する広大な島。現在は中華民国の実効支配となっていますが、古くから島には多くの民族が暮らしていて、17世紀に清が台湾を征服すると、漢民族の人口も多くなり、現在は本省人(第二次地世界大戦前に台湾に移住した漢民族)が多くを占めています。
複雑な歴史を持つ台湾ですが、大航海時代はオランダ人やスペイン、ポルトガルが開拓をしたこともあり、中国の影響を受けつつも、西洋文化が入り込むという独自の文化が築かれました。
しかし、観光客には人気のあるスポットではありますが、どれ一つも世界遺産としては登録されていません。これはなぜでしょうか?
実は世界遺産へ推薦するのには、国家として世界遺産条約を締約する必要があるのです。現在は日本を含めて195カ国が締約しているのですが、台湾としては締結していません。さらには中華人民共和国との政治的な問題もあり、今でも台湾にある物件の推薦は一度もされたことがないというのが現状。
既に世界遺産候補だけは準備している!
とはいえ、台湾の行政院では、各地に残る景勝地や文化財は、ユネスコの世界遺産リストに登録すべき価値があると主張していて、台湾文化資産局が既に世界遺産候補をピックアップしています。つまり、これらは暫定リストのようなもので、ユネスコは認定していないのですが、独自に世界遺産に認められるべき基準を満たしているとされるもの。
現在は以下の17件が世界遺産候補としてリスト化されています。
台湾の世界遺産候補一覧・全17件
玉山国家公園
登録区分:自然遺産
登録基準: (7), (9), (10)
太魯閣(タロコ)国家公園
登録区分:自然遺産
登録基準: (7), (9), (10)
棲蘭山檜木林(せいらんさんひのきりん)
登録区分:自然遺産
登録基準: (8), (10)
大屯山(だいとんざん)火山群
登録区分:自然遺産
登録基準: (8), (10)
澎湖(ほうこ)玄武岩自然保留区
登録区分:自然遺産
登録基準: (7), (8), (10)
阿里山森林鉄道
登録区分:文化遺産
登録基準: (1), (3), (4)
台鉄旧山線
登録区分:文化遺産
登録基準: (1), (2)
楽生療養院
登録区分:文化遺産
登録基準: (2), (5)
水金九鉱業遺跡
登録区分:文化遺産
登録基準: (2), (5)
烏山頭(うさんとう)ダムと嘉南大圳(かなんたいしゅう)
登録区分:文化遺産
登録基準: (1), (4)
桃園(とうえん)台地の埤塘(ひとう)
登録区分:文化遺産
登録基準: (5)
卑南(ひなん)遺跡と都蘭山(とらんざん)
登録区分:文化遺産
登録基準: (3), (6)
排湾(パイワン)族と魯凱(ルカイ)族の石板屋集落
登録区分:文化遺産
登録基準: (2), (5)
金門島(きんもんこっか)戦地文化
登録区分:文化遺産
登録基準: (2), (3), (4), (5)
淡水紅毛城(こうもうじょう)と周辺歴史建築群
登録区分:文化遺産
登録基準: (2), (6)
馬祖島(ばそとう)戦地文化
登録区分:文化遺産
登録基準: (2), (3), (4)
澎湖石滬群(ほうこせきこぐん)
登録区分:文化遺産
登録基準: (1), (5)
蘭嶼(らんしょ)集落と自然景観
登録区分:複合遺産
登録基準: (5), (9)
世界遺産マニアの結論と感想
残念ながら台湾には世界遺産がありません。しかし、「世界遺産に登録されていない」というだけあって、世界遺産級に魅力を持つ遺産はたくさんあるんですよ!
日本でも2014年に「台湾世界遺産登録応援会」が設立。少しずつですが、これらの遺産の価値が世界でも認められていくと、正式に登録される日も来るかもしれませんね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。