インドの世界遺産「マナス野生生物保護区」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分自然遺産
登録基準(7), (9), (10)
登録年1985年

インド北東部にあり、ヒマラヤ山脈の麓に広がる草原と熱帯雨林地帯に位置する保護区は、60種以上の哺乳類、約500種もの鳥類が生息するというほどに生物多様性が見られるエリア。ここには世界最小のイノシシ・コビトイノシシと美しい毛並みを持つゴールデンラングールなど絶滅危惧種も多く見られます。

ここではマナス野生生物保護区がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、マナス野生生物保護区について詳しくなること間違いなし!

目次

マナス野生生物保護区とは?

マナス野生生物保護区
画像素材:shutterstock

インド北東部にあり、ブータンとの国境に近いアッサム州にある保護区で、登録エリアは南北を流れるマナス川沿いに広がっています。ここは熱帯雨林、サバンナ、広葉樹林、草原など、さまざまな地形が見られ、インド亜大陸においても多くの動植物が見られる場所としても貴重なエリア。

ここは世界最小のイノシシ・コビトイノシシと美しい毛並みを持つゴールデンラングール、インドサイ、トラ、バラシンガジカなど絶滅危惧種も多く見られます。

コビトイノシシ/マナス野生生物保護区
画像素材:shutterstock

危機遺産(危機にさらされている世界遺産)

ここは古くから貴族の狩猟用の土地ではありましたが、1973年にマナストラ保護区としてトラを保護するようになると、1990年には国立公園になりました。しかし、この地域の少数民族たちによって政府に対するテロ活動や密猟が繰り返し行われるようになると1992年に危機遺産に。2011年には民族紛争も解決したために解除されています。

マナス野生生物保護区はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ゴールデンラングール/マナス野生生物保護区
画像素材:shutterstock

マナス野生生物保護区が評価されたのが、以下の点。

登録基準(vii)
マナス野生生物保護区は、生物多様性というだけでなく、東ヒマラヤ山脈の麓にあり、ブータンとの国境にも面していて、マナス川を中心に森林に覆われた丘や熱帯雨林、草原が広がっていて、壮大な自然景観が見られるという点。

登録基準(ix)
マナス野生生物保護区は、広大なブラマプトラ川の支流であるマナス川を中心に水が豊かな地で、丘陵地帯から膨大な量の沈泥や岩の破片が運ばれ、砂壌土が堆積した岩石とデトリタス(粒子状の有機物)の層が造られ、北部は腐食層の沖積段丘が形成、南部は平地が広がり、モンスーンの時期は浸水するといった地形が特徴。ここは常緑林、湿潤・乾燥落葉樹林の混合林、沖積平野といった植生が広がり、洪水によって乾燥した落葉樹林は湿潤な森に置き換えられ、半常緑の木々へと変化するという構造が見られます。そして、マナスの植生は、肥沃な土地で草食動物たちが生息するという再生と自立を備えたものであるということ。

登録基準(x)
マナス野生生物保護区は、22種もの絶滅危惧種を含む60種以上の哺乳類、約500種もの鳥類、42種の爬虫類、7種の両生類が見られ、アジアゾウ、トラ、インドサイ、ウンピョウ、ナマケグマなどが見られます。他に世界最小のイノシシ・コビトイノシシと美しい毛並みを持つゴールデンラングール、アラゲウサギや固有種で絶滅危惧種のベンガルショウノガンも生息。植物は89もの樹種、ハーブは172種、ツル科の植物は36種、シダ植物は18種、ラン科は15種などが、植物の多様性も見られるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

マナス野生生物保護区は、古くから狩猟地であり、ヒマラヤ山脈の麓にあるため、マナス川の上流から泥や岩が運ばれ、熱帯雨林や草原、湿原など、動植物が生息しやすい環境が多く形成されているため、生物多様性が見られるようになり、ここにはインドでも数少ない絶滅危惧種も生息しているという点で評価されています。

ちなみに、イノシシ・コビトイノシシは原住民によって狩猟されてしまったために、生息数が減り、一時は絶滅したと考えられたのですが、1971年に再発見。マナス国立公園では、野生種を捕獲して繁殖するという実験が行われています。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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