カザフスタンの世界遺産「サリャルカ-北カザフスタンのステップと湖群」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分自然遺産
登録基準(9), (10)
登録年2008年

カザフスタン北部のコルガルジン州立自然保護区とナウルズム州立自然保護区の2つの保護区で構成。ここは中央アジアにおけるステップ(草原)の中に湿地帯が広がっていて、淡水湖や塩水湖には各地から絶滅危惧種を含む渡り鳥が多く訪れます。特に絶滅危惧種のソデグロヅルやキガシラウミワシ、希少種のハイイロペリカンなどが見られるのが特徴。

ここではサリャルカ-北カザフスタンのステップと湖群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、サリャルカについて詳しくなること間違いなし!

目次

サリャルカ-北カザフスタンのステップと湖群とは?

キガシラウミワシ/サリャルカ-北カザフスタンのステップと湖群
画像素材:shutterstock

ステップとは、草原のことを指すもの。カザフスタン北部の都市カラガンダの西方に広がる約4503平方kmの土地が世界遺産に登録。ここはナウルズム州立自然保護区とテンギス湖で有名なコルガルジン州立自然保護区の2つの保護エリアで構成されていて、イルティシュ盆地流域に淡水湖や塩水湖が点在するという湿地帯です。そのため、アフリカ、ヨーロッパ、南アジアからシベリアの繁殖地へと向かう渡り鳥たちの中継地となっているのが特徴。

ここには絶滅危惧種が多く見られ、ソデグロヅル、キガシラウミワシなどが生息。さらに草原地帯は、密猟によって大幅に減少した絶滅危惧種のウシ科サイガの生息地となっています。

サリャルカ-北カザフスタンのステップと湖群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

サリャルカ-北カザフスタンのステップと湖群
画像素材:shutterstock

サリャルカが評価されたのが、以下の点。

登録基準(ix)
この地は草原と湖に生息する生物や生態学が乱れておらず、湿地の多様な動植物に化学・生物学・水文学などの季節による変化は、湿潤と乾燥のサイクルを経て進化しているという点で科学的に重要なもの。ここは中央アジアにおける渡り鳥のフライウェイの中継地であり、アフリカやヨーロッパ、南アジア、シベリアの繁殖地に向かう渡り鳥によって重要な場所で、広大な草原には温帯草原の生態系がそのまま残されているという点。

登録基準(x)
コルガルジン州とナウルズム州立自然保護区は、中央アジアの多様な動植物が暮らし、多くの渡り鳥が訪れる草原と湖の生息地を保護するもの。コルガルジン州立自然保護区のテンギズ湖には最大250万羽のガチョウの群れを含む、最大1500〜1600万羽の鳥類の餌場となっていて、350万もの水鳥の営巣地でもあります。ナウルズム州立自然保護区のナウルズム湖は最大500万羽の水鳥の営巣地。草原地帯には鳥類や植物だけでなく、かつて密猟によって生息地が大幅に減少したサイガの保護区であるということ。

世界遺産マニアの結論と感想

サリャルカは中央アジアのステップ地帯に広大なテンギス湖を含む、無数の塩水湖や淡水湖が存在するために、各大陸から訪れる多くの渡り鳥の餌場となっていて、そこには絶滅危惧種の渡り鳥が見られるだけでなく、草原地帯では絶滅危惧種のウシ科のサイガなどが生息するという点で評価されています。

ちなみに、カラガンダは第二次世界大戦後にシベリアで抑留された日本人捕虜が収容された都市としても有名。中には戦後も日本への帰還が許されることもなく、現地の女性と結婚したという人もいて、現在も日系の住民が住んでいます。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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