麺をスープに付けて食べる…これは日本そばやラーメンなど日本にだけある習慣だと思いきや、実はベトナムでも大人気のメニューである。ハノイの名物料理であり、なんとバラク・オバマ元大統領も食したことがあるほどに名誉ある食べ物。そんなブンチャーとはどんなグルメなのか?
今回は、ベトナムの世界遺産・ハノイのタンロン皇城の中心区域の近くに味わったグルメ「ブンチャー」を紹介。世界遺産巡りのついでに味わってほしい「世界遺産級の激ウマ・グルメ」を解説していこう。
ベトナムの世界遺産「ハノイのタンロン皇城の中心区域」はベトナムのルーツを探る場所
ハノイといえば、今でもベトナムの首都だが、そのルーツは7世紀にまで遡る。もともとは中国の領土であった時代に要塞が築かれた場所に都市が築かれ、11世紀からは首都となった。とはいえど、最初は「タンロン」と呼ばれていて、ハノイの中心部には当時の皇帝が住んでいた宮殿跡が残っている。
それが世界遺産・タンロン皇城なのだが、実は「皇城」とは名付けられているものの、ほとんどが遺構しか残っていなくて、かろうじて宮殿と思われる部分は、正北門や後楼あたりであり、他は修復されたものや考古学遺跡のみである。…なんとなく「皇城」という名前に引かれて訪れると少し拍子抜けするかもしれないが、内部の展示コーナーは品数も多く、世界遺産好きなら感動間違いなし!(逆に歴史とか興味ないと…辛いかもしれん)
「ハノイのタンロン皇城の中心区域」の詳細はこちら
ブンチャーはハノイ発祥の自由自在の「ビーフンつけ麺」
さて、タンロン皇城を満喫したら、ランチを食べることになると思うのだが、市民のお気に入りランチといえば「ブンチャー」だ。ベトナムといえば、フォーのイメージがあるだろうが、「ブン」と呼ばれる1〜2mmの丸形のビーフンも人気で、その中でもブンチャーは「ブン(ビーフン)チャー(豚肉の脂身)」という意味で、豚肉が入ったつけ汁にビーフンを浸して食べる料理。
割とどこでも食べられるのだが、大抵のブンチャーを出す店は専門店となっていて、お手軽な庶民の料理である。日本でいえば、立ち食いそばと同じポジションで、一応ビールは用意していることが多いが、基本はサクッとブンチャーだけ食べて帰るだけ。店内は相席は当たり前で、ランチ時などは店員も慌ただしく、「戦争」ともいうべき状態になので、まともな接客は期待できない…。
とはいえ、1000円以下で食べられる料理にサービスを期待するのが酷ってもんだ。とりあえず、注文してみよう。ブンチャーの基本スタイルは、硬めに茹でた大量のブンチャーと、ヌクマムと呼ばれるベトナムの魚醤をベースとした甘めのつけダレ、さらにパクチーやドクダミ、ミントなど大量の香草が山盛りにのった皿が出てくる。…説明は一切ないが、普通に考えたら、そばのようにつけ汁につけて食べるんだろうなぁ。
まずは、一口…と思いきや、米粉で作った麺だけあって、ビーフン同士がくっついて団子のようになってしまう。しかし、つけ汁に入れると、あら不思議。麺同士がほつれていく。そして、麺をつけ汁につけて口に入れると、その味わいは…甘い!甘すぎる!!…いや、唐辛子やニンニクが入っているので、少しコクを感じるのだが、ヌクナム(ベトナムの魚醤)の甘みと酸味がビーフンに染み付いて、独特の甘酸っぱい旨味を生み出している。
さらに、つけ汁には豚バラ肉とハンバーグが入っていて、これがまたボリューミー。そして、香草を入れると、サラダそうめんのようになって、ヘルシーな味わいになったりと…もう思い通りの味わいに変化する!つまり、自由自在に味変できるつけ麺のだ。日本そばやつけ麺とは味変の変化の幅が大いに異なって、食べ進めるのがまた楽しい。
…これは「世界遺産級」の味わいだ!
話題作りに「オバマブンチャー」へ行くのもアリ!
ちなみに、ブンチャーはそれほどに古い料理ではないらしく、20世紀後半に現在の旧市街であるホアンキエム地区で食べられていたもの。最近まではローカルグルメであったのだが、2016年にオバマ元大統領が旅行で「フオンリエン」という専門店でブンチャーを食べたことから内外に広まった。
それもあり、今でも店では「オバマコンボ」というブンチャーに海鮮春巻きとビールが付いたセットがある。…まぁ、海鮮春巻きのトッピングはどのブンチャー店にもあるので珍しさはないのだが、春巻きはつけ汁につけて食べると数倍増しに上手くなるので、別にここでなくてもオバマが試したスタイルを再現するのもアリ!
※こちらの内容は、あくまでも過去に現地を訪れた際に体験したものであり、最新情報はご自身でご確認ください。