登録区分(暫定リストに記載) | 自然遺産 |
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登録基準(暫定リストに記載) | (8) |
申請年(暫定リストに記載) | 2022年 |
ロシア中央部・ウラル山脈の西側に位置するバシキール・シハンは、約3億年前に大陸の端に存在したサンゴ礁の残骸によって形成された丘で、地球の地殻変動の記憶を今に残すもの。
ここではトラタウ、クシュタウ、ユラクタウのバシキール・シハン群がなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、バシキール・シハン群について詳しくなること間違なし!
トラタウ、クシュタウ、ユラクタウのバシキール・シハン群とは?

ロシアの中央部・バシコルトスタン共和国の南部に位置するステルリタマク市。その郊外には、ヨーロッパとアジアを分けるウラル山脈の西側、ベラヤ川沿いに位置するトラタウ(標高402m)、クシュタウ(標高357m)、ユラクタウ(標高336m)といった白亜の小高い丘陵があり、これらは綺麗な形状であることから、この地方のランドマークでもあります。
実はこれらは太古の昔に存在したサンゴ礁が固まってこの地に隆起したもの。ここはペルム紀(約2億9900万年前〜約2億5190万年前)に現在とは異なる、さまざまな大陸に分かれていた時代、ローレンシア大陸と呼ばれる超大陸の東端にあり、ここがバルティカ大陸という小さな大陸と衝突したことでローラシア大陸が形成され、それが現在のユーラシア大陸となりました。これらの丘陵は大陸の形成から気候変動、そして、丘に残る堆積物には古代生物の化石が含まれていることから生物圏の変化が分かるという点でも貴重なエリア。
トラタウ、クシュタウ、ユラクタウのバシキール・シハン群はどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?
バシキール・シハン群が評価されたのが、以下の点。
登録基準(viii)
バシキール・シハン郡は、ペルム紀前期に「ローラシア大陸」の端に位置していたサンゴ礁の一部であり、超大陸の移動からウラル山脈の隆起まで、その形成と過程、さらに地球規模の気候変動がよく分かり、かつての北半球の海の合流点における海洋生物の生態も分かるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
バシキール・シハンの現在は白亜の丘に見えますが、ここはかつて大陸の端に存在した沿岸部のサンゴ礁が隆起して並ぶエリアで、これらの丘陵は大陸の移動から気候変動、古代生物の生態などを記憶しているという点で評価されています。
ちなみに、ウラル山脈は世界でも最も古い山脈で地下資源が豊富。そのためロシアはこの地方を狙って征服していき、17世紀に鉱山町や工場町が多く築かれていきました。あまりイメージはないかもしれませんが、ソ連時代の経済を支えていたエリアの一つでもあったのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。