登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (7), (10) |
登録年 | 1987年 |
メキシコの南東部にあるユカタン半島の沿岸部は、マヤ文化が栄えた地の一つ。そして、シアン・カアンは彼らの言葉で「空の始まるところ」という意味。ここには熱帯雨林、マングローブ、湿地、サンゴ礁など、さまざまな地形があり、幻の鳥・ケツァルを含め300種以上の鳥類が見られ、貴重な動植物がたくさん生息しています。
ここではシアン・カアンがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、シアン・カアンについて詳しくなること間違いなし!
シアン・カアンとは?
ユカタン半島の東側の海岸線に広がるシアン・カアンは、キンタナ・ロー州に位置し、約5280平方kmにも及ぶメキシコ最大の自然保護区です。「シアン・カアン」とは、ユカタン半島の原住民のマヤ族の言葉で「空の始まるところ」という意味。ここは湿地やラグーン、マングローブ林、砂丘など、さまざまな自然環境が見られるのが特徴です。シアン・カアンには石灰地質の台地が沈没して地下水が溜まるという「セノーテ」が無数に点在し、貴重な水源として利用されていました。
この地は生物多様性が見られ、熱帯林には、ジャガーやピューマなどの哺乳類、海域にはアメリカマナティや4種類のウミガメが見られます。農耕神であるケツァルコアトルの化身とされる幻の鳥・ケツァルを含め300種以上の鳥類が生息しているというのが特徴。
シアン・カアンはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
シアン・カアンが評価されたのが、以下の点。
登録基準(vii)
シアン・カアンには、美しい海岸が続き、地下水が溜まって形成される「セノーテ」、生物が多く生息する「ペテネス」といったさまざまな地形が見られるという点。
登録基準(x)
シアン・カアンは、セノーテによって固有種の進化に繋がり、850もの維管束植物が確認されていて、他にも絶滅危惧種のベアードバクやアメリカマナティー、330の鳥類、40種類の両生類と爬虫類、80種のサンゴ、400以上の魚類や海洋生物など、さまざまな生物が生息する地であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
シアン・カアンは、マヤ文明において聖なる泉として崇められただけに、石灰岩の地形に地下水が貯まることで、独特の進化を遂げた動植物が見られるというのが特徴。海にはサンゴや魚類、海洋生物の種類も豊富で、アメリカマナティーも生息するという点で評価されています。
ちなみに、バク(獏)の名は、中国から伝わった伝説の生物が由来となっているので、マレーバクを示すものと思いがちですが、実は「獏」は中国の古い文献によるとジャイアントパンダを示すものもあり、もともとはパンダを獏と呼んでいたそう。夢を食らうというのは、日本独自の伝説で、江戸時代の庶民が広めた伝承だそう。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。