登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (2), (3), (4) |
登録年 | 1996年 |
サン・ヴィターレ聖堂は「ラヴェンナの初期キリスト教建築物群」の構成資産の一つ。ここは東ローマ帝国時代でも中心的な聖堂であり、ラヴェンナは聖像破壊運動を受けることがなかったため、初期ビザンツ美術のモザイク画がそのまま残っています。ところで、サン・ヴィターレ聖堂はなぜ世界遺産なのでしょうか?
ここではサン・ヴィターレ聖堂がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、サン・ヴィターレ聖堂について詳しくなること間違いなし!
サン・ヴィターレ聖堂とは?
イタリア北東部エミリア=ロマーニャ州にあるラヴェンナは、東ローマ帝国(ビザンツ帝国)によって征服。6〜8世紀にはビザンツ帝国の総督府が置かれ、帝国西側の首都的存在でした。
ラヴェンナ中心部にあるサン・ヴィターレ聖堂は、街を代表する初期キリスト教の聖堂。ここは4世紀から小さな教会のような建造物があったとされますが、6世紀に聖堂が建造され、司教座となりました。
初期キリスト教会らしく、八角形の集中式で建造されたもの。内陣には美しいモザイクが多く描かれていて、聖像破壊運動を受けることもなく、現在まで残っています。大天蓋には、蔦模様とさまざまなシンボルが組み合わさり、紺地と金が基調となっているのが特徴。
至聖所には、東ローマ帝国の皇帝ユスティニアヌス1世(482年もしくは483年〜565年)と后妃テオドラのモザイクなどが描かれていて、これらはサン・ヴィターレ聖堂を代表する作品。
サン・ヴィターレ聖堂はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
サン・ヴィターレ聖堂が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
ラヴェンナのキリスト教建築物群にあるモザイクは歴代でも最高傑作であり、非常に重要であるという点。
登録基準(ii)
モザイクはオリエントとヨーロッパの文化が融合した作品で現在も残存。これはヨーロッパの芸術や宗教の原点ともなり、貴重な作品であるということ。
登録基準(iii)
ラヴェンナのキリスト教建築物群は、ローマ時代からの伝統を残しつつ、東方からキリスト教の文化を取り入れて形成された、優れた芸術作品であったという点。
登録基準(iv)
ラヴェンナは、6世紀の宗教関連の芸術や建築物が多く見られるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
サン・ヴィターレ聖堂は、東方のキリスト教文化であるビザンツ様式で築かれた聖堂で、オリエントの文化が融合したモザイクが並び、保存状態も良く、貴重であるという点で評価されています。
ちなみに、后妃テオドラは、もともと踊り子という身分から皇后にまで出世した人物で、その美貌からユスティ二アヌスが一目惚れしたそう。しかし、美しいだけでなく、かなりの切れ者だったらしく、ユスティ二アヌスの助言者として国政に関与したため、後世には「女帝」と呼ばれるまでになりました。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。