ポルトガルの世界遺産「シントラの文化的景観」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2),(4),(5)
登録年1995年

首都リスボンの郊外に位置するシントラは、12世紀にポルトガルが支配するようになると、それ以降はポルトガル王室の離宮が置かれた地。19世紀にフェルディナンド2世によって築かれたペナ宮殿はゴシックやルネサンス、イスラムなどさまざまな要素が混じったユニークな宮殿で、当時ヨーロッパで流行したロマン主義建築の代表作でもあります。

ここではシントラの文化的景観がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、シントラについて詳しくなること間違いなし!

目次

シントラの文化的景観とは?

シントラはイベリア半島の最西端に位置するエリアで、ここは丘陵地帯に森林に覆われた花崗岩の小高い山々が続いています。8〜9世紀ころにムーア人(イベリア半島のイスラム教徒)によって城が建設されていたとされていますが、12世紀にポルトガル王国の初代王アルフォンソ1世がイスラム勢力からリスボンを奪還すると、キリスト教徒が住むエリアとなり、歴代のポルトガルの離宮が置かれるように。

シントラ宮殿

シントラ宮殿
画像素材:shutterstock

町の中心部にあり、少なくとも15世紀には王室の離宮が建造された場所。もともとはムーア人が建造した城があり、16世紀初頭までにムデハル(イスラム風)様式やゴシック様式、ポルトガル独自のマヌエル様式などで建造されたもの。特にアズレージョと呼ばれる彩色タイルが使用され、当時のポルトガルの繁栄が見られます。

ペナ宮殿

ペナ宮殿
画像素材:shutterstock

丘の上に位置するペナ宮殿は、もともと18世紀の地震で廃墟となった修道院があり、19世紀に当時王配であったフェルディナンド2世によって宮殿に改装されたもの。フェルディナンド2世はゴシック様式やルネサンス様式、イスラム様式などさまざまな要素が入ったユニークな宮殿に仕上げ、中世の世界を理想としたロマン主義の代表作となったもの。宮殿内は贅を尽くした様式で、しっくり細工やだまし絵の壁など、ユニークな建造物が続いています。

シントラの文化的景観はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ペナ宮殿
画像素材:shutterstock

シントラが評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
19世紀のシントラはヨーロッパのロマン主義建築の中心地となり、ゴシック、ルネサンス、イスラム風など、さまざまな要素が加えられ、地元の建築様式や東洋の建築様式などが組み合わさったものであったという点。

登録基準(iv)
シントラに残る宮殿や庭園は、さまざまな文化が組み合わさリ、異国情緒が残っていて風景に溶け込むように作られているということ。

登録基準(v)
シントラに残る宮殿や庭園には、メキシコやオーストラリアの植物などが栽培されていて、周囲の景観に溶け込むような設計は、ヨーロッパ全体の景観デザインに影響を与えたという点。

世界遺産マニアの結論と感想

ペナ宮殿のようにシントラに残る宮殿と庭園は、ヨーロッパやアラブなどさまざまな建築様式が組み合わさリ、それがシントラの風景に合うようにデザインされ、ヨーロッパ全体の景観デザインに影響を与えたという点で評価されています。

ちなみに、シントラの西にはユーラシア大陸最先端のロカ岬があります。…とはいえ、詩人の石碑くらいしかありませんが、これがまた「最果て感」があって良いのかもしれませんね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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