登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2),(4) |
登録年 | 1994年 |
二条城は「古都京都の文化財」の構成資産の一つ。現在の建造物は徳川家時代のもので、豪華絢爛な二の丸御殿や天皇の離宮として利用された本丸御殿などが残されています。ところで、二条城はなぜ世界遺産なのでしょうか?意外と知ってそうで知らない!
ここでは二条城がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、二条城について詳しくなること間違いなし!
二条城とは?大政奉還とその歴史について解説
誰が建造した?現在の城は徳川家康によって建造
二条城は、中京区にある江戸時代に築かれた平城で、正式名称は「元離宮二条城」。城の周囲には室町時代に足利将軍が築いた「二条御所」や織田信長によって建造された「二条新御所」が置かれていましたが、これらはすべて焼失しています。
現存するのは天下人・徳川家康によって1601年に現在の位置に築城されたもの。ここは上洛時の宿所として建造したもので、もともとこのあたりには町家がある地域でしたが、西国の大名たちに依頼して建造。1602年には天守が加えられ、1603年に完成しました。
二の丸御殿は大政奉還が行われた場所としても有名
1624年に3代将軍の家光によって、大改修が行われ、二の丸庭園などが加えられます。二の丸御殿の豪華絢爛な障壁画は狩野派一門によって加えられのもこの時期。しかし、江戸時代初期には京都の守護と上洛時の宿所を目的としていたものの、1634年の家光の上洛以降、江戸時代中期には利用されることがなく、老朽化して、本丸御殿は焼失してしまいます。
幕末になって幕府の政庁としての役割を持つようになると、再度修復されるようになりました。二の丸御殿では、1867年に15代将軍の慶喜によって政権返上を明治天皇に上奏した「大政奉還」が行われた場所として有名。明治時代になると、「二条離宮」として皇室の離宮として利用されるようになりました。1940年に一般公開され、1965年には庭園へと作り変えられ、現在に至っています。
二の丸御殿と二の丸庭園
国宝・二の丸御殿は、狩野派によって描かれた障壁画もあり、豪華絢爛。もともとは1601年に建造されたものの、建材の姿となったのは1624〜1626年の寛永期に大改修された後から。二の丸御殿は、遠侍(とおざむらい)、式台、大広間、蘇鉄之間(そてつのま)、黒書院(小広間)、白書院など6つの建造物で構成されています。黒書院では、人形が置かれていて、大政奉還の様子を再現の。
二の丸庭園
二の丸庭園は、特別名称にも登録された桃山様式の池泉回遊式庭園。大名であり、作庭家でもあった小堀遠州(こぼりえんしゅう)の代表作で、徳川家の栄華を願うための「神仙蓬莱(しんせんほうらい)」の世界が広がっています。池の中央には蓬莱島があり、その近くの亀島と鶴島は「鶴亀」を表現しているというのが特徴。
唐門
二の丸御殿の入口にあたる豪華な装飾が施された門で、現在は天皇家の家紋(菊紋)ではあるものの、調査の結果、家紋の下には徳川家の家紋(葵の紋)がもともとあったとされています。
本丸御殿
敷地の西側にある本丸御殿は、大政奉還の後、1893〜1894年にかけて京都御所の北側にあった旧桂宮廷を移築したもの。その後は、天皇家の別荘である離宮として1939年まで利用されていました。2017年以降は修理工事により、一般公開されていません。
天守跡
創建時には、望楼型の5重天守が存在していたものの、3代家光の時に伏見にあった淀城(よどじょう)は移築されてしまいます。代わりに伏見城に存在していた天守が本丸に移築されたものの、これは1750年に落雷によって焼失以来、再建されませんでした。現在は天守台のみ現存しています。
二条城はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
二条城が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
京都は8〜17世紀にかけて、宗教と世俗的な建築様式や庭園設計が発展した場所であり、日本伝統文化の形成に貢献してきました。そして、庭園設計は19世紀以降、世界中に大きな影響を与えたという点。
登録基準(iv)
京都の文化財に見られる建築と庭園設計は、日本の前近代の文化における最高の表現であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
現在の二条城は、江戸時代に築城されたもので、狩野派の美しい障壁画が残る二の丸御殿や桃山様式の池泉回遊式庭園など、傑作が多く残っているという点で評価されています。
ちなみに、第二次世界大戦後にGHQが日本を占領すると、二の丸の北側にテニスコートが作りました。1965年には庭園に変えてくれたのですが‥言われてみれば、京都の市内にテニスコートを置く場所がなかなか見つからなかったのかもしれませんね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。