登録区分 | 自然遺産 |
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登録基準 | (7),(9) |
登録年 | 1993年 |
屋久杉は世界遺産「屋久島」の敷地内で多く見られるスギ。島に自生するスギでも標高600m以上のエリアにあり、さらには1000年以上のものを指すことが多いもの。ところで、屋久杉の一部はなぜ世界遺産なのでしょうか?
ここでは屋久杉がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、屋久杉について詳しくなること間違なし!
屋久杉とは?

屋久島の中央部にある山岳エリアにあり、標高600〜1800mに多く分布するスギのこと。もともと屋久島は花崗岩の地盤であるために土に栄養素が少なく、スギは成長が遅くなる傾向にありますが、その分、樹脂が多くなっていて、これが防腐・防虫効果へと繋がり、長寿になるという仕組み。そして、倒木しても切り株更新が起こり、また再生するので、屋久島独特の生態がそのまま保たれてきました。
そもそも世界遺産は不動産を対象としているので、すべての屋久杉が世界遺産に登録されているわけではなく、あくまでも島の中央部から西部にかけての核心地域(コアゾーン)に自生しているものだけが登録。
縄文杉



島のほぼ中央部にあるスギで、屋久島最大の大きさを誇り、少なくとも樹齢2000年以上であるとされることで有名。1966年に発見され、当初の樹齢は4000年以上と推測されるも、1976年の調査では7000年以上になるという可能性もあることから話題になりました。本当の樹齢は諸説あるものの、かなり古い時期から存在するスギであることは間違いありません。
樹高は30mあり、周囲の木々から比べても巨大で、縄文時代から存在すると考えられることから縄文杉と呼ばれるというのが定説ですが、長い年月をかけて幹がいくつもうねっている外観から縄文土器に見えるということで「縄文」と名付けられた説もあるほど。
屋久杉はどんな理由で世界遺産に登録されているの?



屋久杉が評価されたのが、以下の点。
登録基準(vii)
屋久島は、2000mもの山々から海岸まで緩やかな勾配が続くという垂直分布が見られ、樹齢1000年以上を超える屋久杉で有名。これだけの老齢のスギが見られるのは日本でも屋久島だけ。ここは小さな島なのにもかからず、生物や科学、自然が作り出す芸術という面で貴重であるという点。
登録基準(ix)
標高差の激しい屋久島は、北緯30度付近にもあるのにもかかわらず、スギの原生林が今でも残る地で、ここは生物学や地理学、垂直分布、低地と高地の相互作用、水文学、温帯の生態学の過程などの研究において重要であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
日本でもこれだけの古いスギが集まるエリアは屋久島だけであり、科学的にも重要でもありますが、その自然の芸術が見られるという点でも評価されています。
ちなみに、縄文杉に近くにある大きな切り株であるウィルソン株もまた有名ですが、これも屋久杉の一つ。これは1590年に豊臣秀吉が京都で巨大な大仏を建造するために切られたもので、その規模を見ると縄文杉クラスの樹齢を誇るスギだった可能性があります。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。