ワンタンというと中国料理のイメージがあるが、実は中華料理の影響を受けたベトナムでも名物だったりする。特に世界遺産の港町・ホイアンでは、ここでしか食べられない伝説のワンタンがあるのだが…それはどんな味わいなのか?
今回は、ベトナムの世界遺産・ホイアンの古い町並みの帰りに味わったグルメ「ホワイトローズ」を紹介。世界遺産巡りのついでに味わってほしい「世界遺産級の激ウマ・グルメ」を解説していこう。
ベトナムの世界遺産「ホイアンの古い町並み」
ホイアンはベトナムの中部・クアンナム省にあり、トゥボン川の河口近くにある港町。ここはかつてベトナムの南方にあったチャンパ王国の領土で、16〜17世紀には日本人街があったほどに国際港として有名だったのだ。しかし、江戸時代になって鎖国になると日本人はほとんどいなくなり、むしろ、中国との関係が強くなるものの、その後は衰退していった。
それもあり「日本橋」と呼ばれる橋が残るため、かすかに日本との関係は見えるものの、全体的には中国の影響を受けた建物が多い。とはいえ、現在の街並みは18世紀に再建されたもので、19世紀になると交易の中心は近郊のダナンへと移ったため、綺麗に残っている。
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米粉のワンタン「ホワイトローズ」はホイアンで食べるから美味い!?
と、ホイアンと中国との結びつきについて語ったが、現在でもホイアンのご当時グルメは中華料理の影響を受けたものが多い。特に人気なのが、「ホワイトローズ」だ。…こう聞くとなんだか洋風の食べ物の聞こえるが、つまるところ、これは「海老ワンタン」。なんで海老ワンタンをこんなおしゃれに呼ぶかというと、見た目が「白いバラ」のように見えるから、フランスの統治時代に名付けられたとか(だとしたら何故に英語なんだ?という疑問が残るが…)。
このホワイトローズはホイアンのレストランなら割とどこでも食べられるのだが、なぜかどの店も、中心部から外れた「ホワイトローズ・レストラン」で作ったワンタンのみを仕入れて提供している。というのも、ここで作るホワイトローズだけが、抜群の旨味と食感を出せるというのが理由らしい。
というわけで、店へ行ってみよう。さすが有名店があって、スタッフがワンタンを包む場面などが見学できるようになっている。注文すると、米粉の皮にエビのすり身の餡を包んで蒸し、揚ニンニクをのせて提供される。これにヌクマムというベトナム風の魚醤をベースとしたタレを付けるのだが、このプリップリッでツルッツルッの皮との相性は抜群だ。もちろん、タレのバランスも絶妙だが、米粉で作る皮は茹で加減といい、これは完璧なる食感だ…
…これは「世界遺産級」の味わいだ!
なぜにホワイトローズはこんなにも見事な弾力なのか?
なぜこの皮にこんな食感が出せるのかは、実際は分かっていない。ただ皮に使用する水に関して秘密があるようで、ホイアンの井戸で作ると異常に心地の良い食感が出てくるのだ。ここはもともと湿地帯であり、泥の堆積物が上層に広がっていることから、井戸水には奇跡的に「食べ物を美味しくする配合」になったのだろう。実際にホイアンには名物料理が多く、中華風の油そばの「カオラウ」、蓮の実のお汁粉の「チェーセン」、蒸し鶏のライス「コム・ガー」など、名物料理だらけ。つまり、お酒と同じで良質な水が味を良くするのだろう。
そのためか、ホイアンでは井戸に神様がいると信じられていていて、満月と新月の日に井戸の神様を供養していたそうな…。
世界遺産のついでに世界遺産級のグルメも同時に楽しんでみてはいかが?
※こちらの内容は、あくまでも過去に現地を訪れた際に体験したものであり、最新情報はご自身でご確認ください。