登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1),(3) |
登録年 | 1983年(2007年拡大) |
フランス西部を流れるガルタンプ川沿いに位置するサン=サヴァン。この地に9世紀に建造されたとされるベネディクト修道院には11世紀に再建されたロマネスク様式の付属教会があり、身廊の天井には「ノアの方舟」など旧約聖書の物語が36場面も描かれ、ロマネスク様式の絵画の傑作が並ぶという点で評価されています。
ここではサン=サヴァン・シュル・ガルタンプ修道院付属教会がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、サン=サヴァン・シュル・ガルタンプ修道院付属教会について詳しくなること間違いなし!
サン=サヴァン・シュル・ガルタンプ修道院付属教会とは?
ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏にあるサン=サヴァンという小さな町は、5世紀に殉教した聖サヴァンゆかりの地で、サン=サヴァン・シュル・ガルタンプ修道院は、9世紀にカール大帝の秘書官だったバディウスによって設立されたとされるもの。もともとはベネディクト会修道院であったとされますが、11世紀になると現在見られるロマネスク様式の付属教会が再建されました。しかし、その後はユグノー戦争(1562〜1598年)時代に荒廃したものの、19世紀になると修復され、高さ80mのゴシック様式の尖塔も追加されています。
特にこの付属教会を有名にしているのが、ロマネスク期の壁画で、これらはフレスコ画とテンペラ画の中間的な技法で描かれているもの。身廊の天井に描かれた旧約聖書の物語の壁画は36場面も描かれていて、「天地創造」「ノアの方舟」といったエピソードで有名です。特に「ノアの方舟」においては、船がヴァイキング船のように見えるのが独特。他にも玄関廊には「ヨハネの黙示録」があり、地下礼拝堂の天井には聖サヴァンの遺体が納められていて、天井には彼の物語も描かれています。
サン=サヴァン・シュル・ガルタンプ修道院付属教会はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
サン=サヴァン・シュル・ガルタンプ修道院付属教会が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
サン=サヴァン・シュル・ガルタンプ修道院付属教会は、11〜12世紀のロマネスク期の壁画の傑作が並び、これらは聖書の物語を見事に表現していて、西欧の中世キリスト教世界の芸術が見られ、この時期に最盛期を迎えたもの。この独特の表現は「ロマネスク様式のシスティーナ礼拝堂(ヴァチカン宮殿にある礼拝堂)」と称されているという点。
登録基準(iii)
サン=サヴァン・シュル・ガルタンプ修道院付属教会は、当時主要な教育施設とされる建造物の重要性を証明するもの。天井などに描かれた壁画は、当時の西ヨーロッパのキリスト教の布教において、聖書の内容を分かりやすくするアイデアであり、代表的なものであるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
サン=サヴァン・シュル・ガルタンプ修道院付属教会に残るロマネスク様式の壁画は「ロマネスク様式のシスティーナ礼拝堂」とされるほどに芸術的な価値もあるのですが、分かりやすく旧約聖書の場面を描いたことから、その技法に関しても優れていたという点で評価されています。
ちなみに、サン=サヴァンは壁画で有名な町であるだけに「国際壁画研究センター」という施設もあって、先史時代から現在までの壁画について研究しています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。